夜の街は、思ったより静かだった。
小さく手を引かれて、人気の少ない道へ。
帽子を深く被って、マスクをしてても——
それがジュナだってことくらい、すぐ分かる。
そう言うと、ジュナは少しだけ笑った。
あっさり肯定するくせに、どこか余裕な顔。
思わず聞くと、少しだけ足を止める。
そして、ゆっくり振り返る
それだけ。
シンプルなのに、何も言えなくなる。
迷いのない声。
少しだけ近づいてくる。
その言い方、ずるい。
視線を逸らしながら続ける。
そう言うと、少しだけ表情が変わる。
静かな声。
一歩近づく。
真っ直ぐな目。
逃げられない。
当たり前みたいに言う。
少しだけ視線を落としてから、またこっちを見る。
その言葉に、心臓が強く鳴る。
優しく笑う
息が詰まる。
そんなこと、簡単に言わないでほしい。
軽く笑って、また距離を詰める。
さっきより、ずっと近い。
そっと手が伸びてくる。
一瞬迷ってから、その手を取る。
指先が触れた瞬間、少しだけ強く握られる。
静かな声。
でも、その中にちゃんとした覚悟がある
即答
少しだけ引き寄せられる。
お願いじゃないのに、断れない言い方。
小さく頷くと、安心したみたいに笑った。
そのまま、少しだけ肩が触れる距離で歩き出す。
夜の街。
誰にも気づかれないように、でも確かに隣にいる存在。
秘密の関係。
でもそれが、嫌じゃないと思ってしまった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!