ぶつけた、スネをタンスの角にぶつけた。
久しぶりにこの激痛を味わって死ぬかと思った。
ダラダラと冷や汗を流しながらその場に蹲り、ハーハーと息を吐いて痛みを緩和させる。
暫くして、部屋の外でドタバタと誰かが走る音が聞こえ、その音は私の部屋に近づいてきていることが分かった。
…うそ、そんな音大きかった…?
だとしたら結構な勢いでスネぶつけちゃった…
焦った様子のロノが私の部屋の扉を開けて入ってくる。
まさかとは思うけど、私のスネをぶつけた音を1階のキッチンから聞いて走ってきたの…?
こわい…
音を聞いてすぐ駆けつけてきたというなら、キッチンはそのままなのではないか。
火をつけたままとか、ガスを開けっぱなしで来たとかであれば大変である。
すぐに戻らないと大惨事に_____
は?と怪訝な表情で私を見るロノ。
ん?どういうこと…?
今のロノはエプロンをつけている…のに、キッチンには居なかった?
見せまいとぶつけた所を隠していた私の手を振り切ったロノは、私のスネを見て驚愕した。
彼に釣られて私も見ると、拳一つ分程の大きな青タンができているではないか。
なにがちょっとだよ、と小言を言って私を立たせるロノ。
うぅ…すみません…迷惑ばかりかけて……
突然、背中と膝裏に腕を回され体を抱き寄せられる。
ふわりと宙を舞う感覚に目を見開いた。
お、お姫様抱っこっ…!?
びっくりしてロノを見上げたけど、いつもより近い距離にまたびっくりして、思わず目を強く閉じた。
私を抱き抱えたまま部屋を飛び出すロノの胸の辺りに頭を寄せる。
こ、こわい…なんですか急に…っ
ゆっくり丁寧に下ろされ、周りを見渡す。
感覚的にさっき階段を上がっていたような気がする…
ここは3階?
そんでもって、到着した部屋からは微かに薬品の香りがする…。
…やられた。
今から治療される…
今から痛い注射をされるような心持ちで、ドキドキしながらルカスの返答を待つ。
…依頼とかで留守にしてたりしないかな
なんて、淡い期待を持ちながら。
普通に居た。
ガサゴソと何かを漁る音を暫く聞いた後、扉が開いた。
こんにちは主様、といつものように甘いフェイスでお出迎え。
今日はそれがちょっと鬱…。
ほらやっぱ診てもらうべきだっただろ、と言わんばかりの視線が私を突き刺す。
ごめんってば、ロノ。許してくださいよ。
その後、袋いっぱいに入れた氷で患部を冷やしながら(おそらく)ルカスの机の引き出しを眺めていた。
引き出しから地味に書類がはみ出していた。
部屋に入る前のガサゴソ音は、そういうことだったのね。お片付けの、音だったのね。
女性は男性に比べて青あざができやすいらしい。
皮膚が薄く、筋肉量や血管を保護するコラーゲンが少ないことが原因だという。
どこで使うかはよく分からないが、知識が増えたことは嬉しかった。
それはそうと、私の青タン事件は執事達の間で瞬く間に広がった。
料理に野菜が多く出されるようになったのは勿論のこと、
最近では、ラトからたくさんパセリをお裾分けしてもらえるようになった。
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こんにちは、久住です。
青あざにはビタミンK(納豆やほうれん草)とビタミンC(レモンやキウイ)を含む食材が良いらしいです。
皆さんも大きな青あざが出来てしまった時は、パセリを食べて奴らを壊してしまいましょうね。クフフ。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。