はい
スタート‼
POV:あなた、ひとらん
あなたPOV
午後七時
ホテル内のレストランが
営業を始める時間
宿泊客が
次々とエレベーターから降りてきて、
ロビーは昼間とは違う賑わいを見せていた
笑顔で案内を続ける
一人、また一人
気付けば何十人もの宿泊客を
見送っていた
小さく息を吐いた
チン‼
エレベーターの扉が開く
白を基調とした服
見覚えのある姿
自然と名前が口から零れた
彼はこちらを見る
目が合う
ドクン
短いやり取り
なのに、
不思議と空気は柔らかかった
俺はレストランの入口を指差した
そのまま行くかと思った
だけど
思わぬ一言だった
少し笑って答えた
それだけ
それだけの会話なのに
何故か居心地がいい
沈黙すら苦にならない
彼はゆっくり歩いて
レストランへ入っていった
その背中を見送りながら
また目で追ってしまう
知らない人なのに
まだ二回しか話していないのに
どうしてこんなに気になるんだろう
※ひとらんPOV
夕食会場
料理を皿へ盛り付けながら考える
普段なら必要以上に話しかけない
それなのに
受付に立つあなたを見ると
自然と声が出た
席へ座る
周囲では家族連れや
恋人同士が楽しそうに食事をしている
ガヤガヤ…
食器の触れ合う音
笑い声
そんな中
俺は一人で夕食を食べ始めた
料理は温かかった
でも
ふと入口を見る
受付から案内を終えたあなたが見える
笑っている
子どもにも
年配の夫婦にも
誰に対しても同じ笑顔
あんな風に自然に笑える人は少ない
俺にはできない
また視線を向ける
すると
あなたが偶然こちらを見た
目が合う
ビクッ…
思わず目を逸らしてしまう
少し恥ずかしい
頬が熱くなる
ドクン
心臓が騒がしい
恋なんて柄じゃない
そう思ってたのに…
~~~~~~~~~~
あなたPOV
夕食の案内も落ち着き始めた頃
厨房から料理長が顔を出していた
余ったデザートの
小さなショートケーキだった
甘いものは大好きだ。
休憩室へ向かおうとした
手が滑った
皿が傾く
ガシッ
誰かが皿を支えてくれた
その声に顔を上げる
彼は落ち着いた様子で皿を持っていた
ドクン
気付けば口にしていた
初対面に近い人を誘うなんて
何やってるんだ俺!
慌てて手を振る
顔が熱い
ひとらんさんは少し
驚いたような表情を浮かべたあと、
小さく笑った
ドクン
さっきより
心臓がうるさい…
はい
終わりました
それでは
また会いましょう














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。