第88話

87話
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2025/06/07 21:02 更新
(なまえ)
あなた
お相手できないでしょうか?


あなたはそう言って羅漢に四角い箱を差し出した。


_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
(将棋か)
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
可愛い娘の頼みを断る理由がないね


そう笑ってあなたの向かいの椅子へと座る。


(なまえ)
あなた
勝負は変則なしの五回戦。
三勝したほうが勝ちです
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
不利ハンデはどうするかね。
馬落ちか、車落ちか
(なまえ)
あなた
必要ありません

そう言ったあなたに(受ければよいものを)と目を向ける壬氏と高順。


(なまえ)
あなた
それより、賭けの代償を決めませんか
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
それは話が早い。
私が勝てば二人ともうちの子になってくれるね
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
……っ


羅漢の発言に壬氏は目を見開き、前へ出ようとして高順に止められる。

_高順@ガオシュン_
高順ガオシュン
何も口を出さないという約束だったでしょう
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
しかし


小さな声で喋る二人を横目にあなたは話を続ける。

(なまえ)
あなた
構いません。
猫猫もそれでいい?
_猫猫@マオマオ_
猫猫マオマオ
まぁあなたが行くなら……


猫猫の言葉を確認し、羅漢に目を戻す。

(なまえ)
あなた
ですが、私達は雇用中の身ですので年季が明けたあとになります


あなたがそう言うと、羅漢ははてっと首を傾げた。


_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
雇用中?
本当に雇われているのかい?
(なまえ)
あなた
ええ


あなたの返答に羅漢は壬氏を見てにまぁっと笑った。

それに壬氏は顔を顰める。


そしてあなたへ目を向ける壬氏。

_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(一体何を考えている?)
(なまえ)
あなた
その代わり私が勝てば、緑青館の妓女を一人身請けしてくれないでしょうか?
誰を、とは言いませんが、やり手婆がそろそろ年頃の妓女を片付けたがっていますので


羅漢は(そう来たか)とニヤッと笑みを浮かべた。


_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
それでいいと言うのなら飲むしかないのだがね。
それだけでいいかい?
(なまえ)
あなた
それでは規則ルールを二つ
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
構わないよ
(なまえ)
あなた
では


あなたが猫猫に目を向けると、猫猫は瓢箪を取り出してそれを五つの杯に注ぐ。


_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(においからしてきつめの蒸留酒か?)


注ぎ終わると、あなたがふふっと笑って懐から何かを取り出す。



壬氏と高順は(嫌な予感がする)とそれを見ていた。



_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
それはなんだい?
(なまえ)
あなた
少しなら薬です。
三つも飲めば猛毒になりますけど。
この粉を五つの杯の内三つに入れて、入れた容器がどれかわからないように混ぜます


しゅぱぱと素早く杯の場所を移動させていくあなた。


(なまえ)
あなた
勝負一回ごとに勝者が一つを選び、敗者がそれを飲む。
別に全部を飲まなくても一口飲めばそれで構いません。
それが一つ目の規則ルールです
壬氏、高順
(えぐいことを考える)
(なまえ)
あなた
そして二つ目は、どんな理由があろうとも試合を放棄したら負けということでお願いします。
よろしいですか?
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
……構わないよ
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(揺さぶりか?
しかし、普通の相手ならまだしも、相手は奇人と言われる軍師殿である。
ただの揺さぶりで心乱されるとは思えない。
一体何を考えているんだ)


壬氏は心配そうな目を向ける。





そして始まった将棋対決。












(なまえ)
あなた
グビッ……ぷはぁ( * ॑꒳ ॑*)
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(また負けた。
これで二連敗だぞ)

顔を青ざめて勝負を見ている壬氏。


あなたは将棋の規則ルールを知っている程度で、全く実戦経験がない。

それに引替え、羅漢は将棋で負けなし。

_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(すでに二杯。
美味しそうに飲むせいで毒を飲んでいるか否かが傍目にはわからない。
これまでの二杯が毒入りの杯だったとして、三杯目に毒が来る可能性は三つに一つ。
全体で言えば十に一つの可能性で猛毒を食らうことになる。
実力差は既に目に見えている。
この娘なら毒にあたったところで問題がなさそうだが、それはそれで怖い。
この状況を羅漢はどこまで読んでいるのか)


壬氏がそこまで考えると、あなたが口を開いた。


(なまえ)
あなた
王手です


あなたの言葉に壬氏はバッと将棋盤に目をつける。

_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(確かに将は詰んでいる)
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
まいったよ
(なまえ)
あなた
お情けでも勝ちは勝ちということでよろしいですね
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
ああ、間違っても娘に毒をすすめるわけにはいかんからね。
どれを選んでくれる?
(なまえ)
あなた
お好きなものをどうぞ
_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
薬というのは味があるのかい?
(なまえ)
あなた
一口飲めば味が違うのはわかります
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(なるほど。
三杯目に猛毒になる薬なら、羅漢は二回までなら負けることができる。
そのうち一つでも味が違えば、娘に毒が及ばないとわかるだろう。
そのためにわざと負けるとは、やはり抜け目のない男だ)



羅漢は杯を一つ手に取り、くいっと飲む。


_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
…………しょっぱいな


その言葉に壬氏は目を見開いてガクッと机に手を置く。


_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(これで三杯目の薬を心配する必要がなくなった。
つまり勝ち目がないということだ。
次は一体どんな手をつかって取り戻せば)


壬氏がそう必死に考えていると、羅漢の身体がクワンクワンと揺れている。


_羅漢@ラカン_
羅漢ラカン
それに、あつい



そう言って羅漢は椅子から落ちてその場に倒れた。



その出来事に壬氏と高順は一瞬固まって顔を青ざめ、あなたと猫猫はじとっと少し冷めた目を向けた。


_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
一つでは問題ない薬なのだろう?
いくら憎くても本当に毒を盛るなんてことは
(なまえ)
あなた
酒は百薬の長ですから間違ったことは言っておりません
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
どういうことだ?
_高順@ガオシュン_
高順ガオシュン
壬氏さま。
酔っているだけのようです

羅漢の様子を見てそう言った高順にポカンとする壬氏。


_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
は?


あなたは羅漢の身体を抱き起こし、猫猫が水が入った容器を羅漢の口に突っ込む。


_猫猫@マオマオ_
猫猫マオマオ
下戸なんですよ。
この人
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
……そういえば、いつも腰に下げた果実水ジュースばかりで酒を飲むところは見たことがないな。
では、さっき入れた粉は?
(なまえ)
あなた
あれは塩と砂糖を混ぜたものです。
入れると吸収が良くなるので
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
(つまり、羅漢は始めからこうなるとわかっていたのか)



高順に代わってもらい、あなたはパンパンと服を払って立ち上がる。

(なまえ)
あなた
さて、応急手当も終わりましたし、さっさとこの男を運び出して妓楼の花を選ばせましょう
_壬氏@ジンシ_
壬氏ジンシ
あ、ああ

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