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時は夏休み
一学期が終わってから2週間が経った
あれから14日間何もしてない
何もしてない、というのは……
ふと、通知音を鳴らした端末へと手を伸ばす
そこに映し出されたのは…
それは、私が中学生の頃にも、毎回のように長期休暇の時に送られてくる文。
『課題』という2文字を見ただけで、うっ、と、頭が痛くなる
その時、また1つ、端末が通知音を鳴らした
何度見たことだろう、この長期休暇の間に送られてくる彰人の遺言
きっと、今頃とーやに見張られて勉強させられているのだろう
少し罪悪感がありながらも、冬弥にそう返す
自分もアレに巻き込まれるのはごめんだ
……そう返した瞬間、彰人からもう一通、LIMEが届く
背筋が凍り付くのが身をもって分かった。
毎年のようにこの3人で勉強会をしているのだから、彰人からしたら私の課題の進捗具合なんてバレバレだ。
決して乗り気ではない自身の重たい体を起こし、せっせと用意を済ませる。
この暑い中、家から出るってだけでも憂鬱なのに
ツイてない、本当にツイてない
誰のせいだ、いや、紛れもなくあの柿頭野郎のせいだ
◆
何故私は彰人の家の前に立っているのだろう
毎回コレをする時は、大体彰人の家か、図書館だ
インターホンを鳴らすか鳴らすまいかオドオドしていたら、来るタイミングを見計らっていたかのように、丁度彰人が家のドアを開けた
◆
彰人!?お前何してんの!?!?という視線を送ればニヤついた悪い顔で視線を返される。
冬弥に解説してもらってんのに抱きつかれなんかしたら内容入ってこないよ!?!?
抵抗しようとしても、力の差でもがいていた腕を押さえつけられる。
つか、何冬弥も平然と解説続けてんの!?!?
やば……声っ、出るって……っ、
ちょ、ほんとにこの柿頭殴っていい??
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。