気づいたら、目の前には無一郎さん
に見えるけどちょっと違う気がする
というか、ここは一体どこなのか
そっか
時透さんのお兄さんは鬼にやられちゃったんだ
ということはここは天国…?
無一郎さんと違って、ちょっと目がつり目だし、言い方も少し強い気がする
思わず叫んでしまった
こうやって人になんで死にたいのか話したのは初めてかもしれない
ありったけの声で私は有一郎さんに叫んだ
私が死んだら周りも死ぬなんて頭がイカれてる
無一郎さんと違って、お兄さんは元々バカだったのかもしれない
瞬きをしたら、私は病室にいた
手にははさみを、そして刃を胸に向けていた
そんなの絶対嘘だ
そんなこと無一郎さんにも………
これは私がずっと無一郎さんから逃げてて、言われた言葉だ
有一郎さんの言葉、本当に信じていいのかな
本当に待ってるのかな
無一郎さんは私がいても迷惑じゃないって言ってた
みんなみんな、信じていいの……………?
気づいたらはさみの刃腕をかすっていて、かすかに血がにじんでいた
前も私は死のうとしてたけど無一郎さんの言葉に怯んで死ねなかった
だから今人がいないこの日に
今死ぬんだ…!!!
ガラ🚪
久しぶりに聞いた無一郎さんの声と怒号
後ろで胡蝶さんが必死に止めにかかってる
一人称が俺になる時なんて無一郎さんが本気のときだけ
無一郎さん私のために本気で説得しようとしてる
ごめんね
ごめんなさい
私ははさみをもう一度胸に向け、ありったけの力で振り下ろした















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!