若井side
急いで大森のクラスから離れる
1年前
俺は大森に出会った
始まりは入学式。
いわゆる「陽キャ」の分類だった俺は、入学初日からバンバン友達を作る
はずだった。
めちゃくちゃに風邪をひいていた。
なんとか入学式を乗り越え、ふらふらになりながら教室を出た。
その頃には誰が見てもわかるくらい体調不良で
中庭の真ん中にあったベンチ。
少しだけ、ほんの少しだけ休憩しよう…
思ったより自分がピンチなことに気づく。
吐き気まで襲ってきて、不安が心を支配する
ただただ気持ち悪い時間だけが続く。
数十分たった頃
先生だろうか、誰かが声をかけてくれた。
顔をあげる
胸についてる花飾り…
こいつも新入生か、、
ああ思い出した
同じクラスの……
この出来事から、俺は確実に
大森に惹かれていた。
「大森」と「若井」だから、席はかなり遠いけど
目線はいつまでも彼を離さなくて。
あくびとか、何かにつまづく姿とか
いつのまにかそんな大森を「可愛い」って思うようになった。
2年になって、大森とはクラスが離れて、
当然俺達は疎遠になった。
おそらく彼は俺のことを忘れかけている。
……俺はこんなに大好きなのに。
あの雨の日、久しぶりに大森の背中を見つけた。
俺はもう心臓バクバクで
蓋をしようとしていた気持ちが爆発してしまった。
大森と2人の帰り道、ほんとはちょっとでも長く一緒にいたくて
わざわざ公園ある道通ったんだよな。
あの派手髪大学生には笑顔見せてて、めっちゃ嫉妬した……
今日なんか、大森に会いたくて早く登校したんだよ
ちゃんと「可愛い」って聞こえたかな。
照れたふりで隠したけど、あれは俺の本心で。
大森の耳が赤くなってたのは、、
期待していいかな?
大森が俺のこと、好きになってくれればいいのに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。