今日はクリスマス当日。
街中が華やかなイルミネーションと賑わいに包まれる中、あなたは朝から静かな寂しさを感じていた。
ドヨンは、多忙なアイドルのため、「クリスマスは仕事で、あなたとゆっくり過ごすのは難しい」と事前にあなたに伝えていた。
(ドヨンくんが頑張ってるんだから、私だって頑張らないと)
あなたは、一人で家にいて寂しさに浸るより、と、あえてバイトを入れ、昼過ぎから店に出た。
店もクリスマスムードで賑わっていたが、あなたの心はどこか落ち着かなかった。
休憩中、あなたの様子を見た先輩が声をかけてきた。
「あなたちゃん、今日は大忙しだね。でも、ドヨンくん、やっぱり忙しいんだね?」
あなたは、少し寂しさを隠して笑った。
「はい。やっぱり、特別な日はテレビ局で忙しいみたいです」
店長もあなたの様子を見て、心配そうに尋ねた。
「あなたちゃん、クリスマスに会えないの、寂しくない?」
あなたは一瞬、胸がチクリと痛んだ。
寂しくないはずがない。
しかし、頭の中には何万人もの前でスポットライトを浴びるドヨンの輝く姿が浮かんでいた。
「正直、ちょっとだけ寂しいです。でも、アイドルをしてるドヨンくんもすごくかっこいいから。たくさんの人を笑顔にしているドヨンくんを、私が邪魔しちゃいけないって思ってるんです」
あなたの恋人としての強い決意を聞き、先輩や店長は優しく微笑んだ。
「あなたちゃん、強いね。ドヨンくんは幸せ者だよ」
あなたはその言葉に少しだけ報われた気持ちになった。
そして、夜11時。
無事にバイトのシフトを終え、あなたは店の制服から私服に着替え、裏口から帰ろうとしていた。
今日はドヨンからの連絡もなく、このまま一人で帰宅し、クリスマスが終わるのだと思っていた。
あなたが店の裏口のドアを開けた、その瞬間。
「あなた」
あなたはハッとして声のする方を向いた。
そこに立っていたのは、息を切らし冬の寒さの中薄いコート一枚で立っているドヨンだった。
ドヨンはマフラーもキャップもなく、マスクを顎にずらしたままあなたを見つめていた。
「ドヨンくん……え、なんで……?」
あなたは、驚きと混乱で言葉を失った。
ドヨンは、あなたのもとに駆け寄り、あなたの手をぎゅっと握った。
🐰「仕事全部終わらせて急いで帰ってきた。ごめん、連絡もできなくて」
ドヨンは、あなたの手を握りしめながら、興奮した面持ちで言った。
🐰「あなたに『メリークリスマス』を直接言いたくて。」
ドヨンは、あなたの顔を見て、安心したように笑った。
あなたはドヨンの疲れているはずの体が、自分に会うためだけに、この場所まで急いで駆けつけてくれたという事実に、胸がいっぱいになった。
「ドヨンくん……」
ドヨンは、あなたの手を引いた。
🐰「あなたあと5分だけ、時間ちょうだい」
ドヨンは、あなたを近くの公園の小さなイルミネーションが施された並木道へと連れて行った。
二人は他のカップルのように、ただ並んで光のトンネルを歩いた。
ドヨンは、あなたの冷たい手を自分のポケットの中で温めた。
🐰「あなた。俺、今日あなたに会えないのが一番寂しかった。でも、応援してるって言ってくれたから最後まで頑張れたよ」
あなたはドヨンの正直な言葉に、寂しさなんて一瞬で吹き飛んだ。
「ドヨンくん……メリークリスマス」
🐰「メリークリスマス、あなた」
ドヨンはイルミネーションの光の下で、あなたの頬にキスをした。
5分間の散歩を終えると、二人はすぐにあなたの家に向かった。
あなたの部屋に入ると、ドヨンはあなたをソファーに座らせ、優しく抱きしめた。
🐰「あなたの匂いだ。やっと落ち着いた」
ドヨンは、疲れているにもかかわらず、あなたのために一番大切な「クリスマス」の最後の時間を作ってくれた。
その夜、二人は特別なことはせず、あなたが作った温かいお茶を飲みながら、ドヨンの仕事の話やあなたのクリスマスの過ごし方を話し合った。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。