ことの始まりは、2時間前に遡る。
AM8:03。
いつもなら昼近くまでずっと寝てるけど、
今日はなんだか珍しく早くに目が覚めた。
朝から自分が珍しく早起きしたことの喜びもあって、
いつもは(気分がのらなくて)
行くのを拒む大学の方へと出席しようと思い
早めに家を出て、今に至る。
俺は本当に電車がダメだ。
別に乗り物酔いが酷いとかそういうわけでなく、
人が沢山いて、乗り換えが複雑なのが苦手。
電車に乗るとなると、
必ずと言っていいほど迷子になる。
俺の通っている大学は
山手線一本で通学できるので、
乗り換えが苦手な俺にはとても嬉しい。
近々"歌ってみた"で歌う予定の曲を脳内再生しつつ、
改札口へと歩みを進めていく。
ピッタリ5000円がチャージされたSuicaを、
改札機にタッチする。
"ピピッ"という電子音が耳に心地よい。
駅の時計は8時17分を指している。
さあ、いこう。
俺は駅のホームへと、
階段を使って駆け足で降りていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!