純白の花が咲いた瞬間。
温室中を包んでいた魔力が、ゆっくりと静まっていく。
リアナは咲き誇る花を見つめ、小さく笑った。
しかし、その笑顔は一瞬で曇る。
視界がぐらりと揺れた。
足元から力が抜ける。
倒れそうになった身体を、ドラコがとっさに抱き留める。
リアナの顔色は見る間に青ざめ、額には冷たい汗が滲んでいた。
ドラコは震える声で名前を呼ぶ。
その様子を見たアレクサンダーとエレノアも、すぐに駆け寄る。
エレノアは娘の頬に触れ、その冷たさに息を呑む。
アレクサンダーは咲いた純白の花を見上げ、静かに目を閉じた。
ドラコはリアナを抱きかかえたまま顔を上げる。
いつもの冷静な口調ではなかった。
焦りと恐怖が、その声には滲んでいた。
アレクサンダーは落ち着いた様子で答える。
それでもドラコは安心できない。
リアナの細い手を強く握る。
その手を、リアナはかすかに握り返した。
弱々しい声に、ドラコは安堵したように息を吐く。
エレノアは娘の髪を優しく撫でながら微笑んだ。
しかしアレクサンダーだけは、咲いた純白の花から目を離さなかった。
その事実に、父としての喜びと不安が入り混じる。
一方、ドラコはリアナの手を離さず、心の中で静かに誓う。
――この力ごと、僕が守る。誰にも傷つけさせない。
その覚悟が、後に両家へ婚約を申し出る決意へとつながっていく
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!