初めて見るふうまくんの姿に耐えきれず、了承してしまった病院。看護師さんに名前を呼ばれ、診断室へと重い足を動かして先生の目の前で座る。
よく分からなかったが、自分の症状に病名が付いてしまった事だけは理解出来た。どうせすぐ治るだろうと思い、先生へいつ頃治るか聞くが、先生は顔を少し暗くした。
先生の言いたい事が今になって分かりやすく聞こえてしまう。「これ以上耳を悪くしたくないなら休め」そういう事だった。少し考えていると、先生は俺の目を見て優しく言った。
宿舎のドアを開けると、賑やかな声が聞こえる。
マキがバタバタと走る音、
ハルアとユウマがいつも通り小競り合ってる声、
上から聞こえるゲームの音声。
正直、落ち込んでいた俺には耳障りで、かと言って無理に止めることも出来なくて、ただひとり俺は玄関で靴を脱いだ。
リビングを1回通り過ぎて、薬や絆創膏などが入っている棚へと向かい、なるべく誰にもみられないような場所へ今日貰った薬を置く。
それからリビングへ向かい、戸を開けた。
その「ちょっと」はいつまで続くのか。
話さなきゃ。自分の今の状況を。
なのに、みんな楽しそうに笑顔を浮かべてる姿を見たら、到底口は開けなかった。
自分の部屋に戻ると、静寂が充満した。
静かで、涼しくて、何も聞こえない空間。
ただ心地よくて、音を聞いていない事に気が抜けた。
ベッドに横たわると、相当気が抜けたのかすぐ眠りに落ちた。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!