電話越しに聞こえた声に胸が高なる
久しぶりに聞いたからだろうか
あの日あなたちゃんとお別れ会をしてから
言葉をかわすのを避けていた
彼女の手の甲に唇を重ね告白まがいな事をしてしまった自分が信じられなかったのだ
気持ちの整理をするのに数ヶ月も使ってしまった
なのに、また秘めた筈の"感情"が溢れそうになる
私は早々に会話を切り上げ通話を終える
今回の任務が終わったら会う約束を取り付ける事ができた
今はそれだけで十分だ
近くにいる硝子に目を向けると
良くやった!とぐーサインをしていたので苦笑してしまった
自分で"許嫁"という言葉を使ったのにズキリと胸が痛む感覚がする
悟が不貞腐れたように自分の携帯を出して慣れた手つきで電話をかけはじめる
が、出ないのか諦めたように通話をやめる
1時間おきにどっか行くのはあなたちゃんに電話をかけていたからなのか
それにしてもストーカー並の連絡数だな
しょぼんと落ち込む悟に少し同情するが
鬼電されているあなたちゃんが可哀想なのでグッと飲み込み言葉を続ける
悟の背中をグッと押し
硝子に見送られながら任務へと向かう
これが終わったら私は..................
私は..............
彼女に何を伝えようか
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!