第21話

でぇと
663
2024/12/12 13:19 更新







あなた
わぁ…これ、綺麗
あれ、今日綺麗ばっかり言っている気がする…
まぁいいか。
私が目を輝かせて見ているのは時透さんの瞳と同じ色の袴だ
仕立てた後の見本?候補?として飾ってあった
時透無一郎
…すいませ——
あなた
流石に申し訳ないので黙ってください!
時透さんに素早く突っ込んでいき口を手で押さえる
あなた
あの…こちらの布でこの袴と同じ物を仕立ててもらえないでしょうか?
お店の人
かしこまりました。
また二週間後にお越しくださいまし
あなた
ありがとうございます
時透無一郎
プハッ
自分で仕立てを頼んでから時透さんの口を押さえつけていた手を離した
時透無一郎
何するの…
あなた
私の服まで支払っていただくなんて申し訳ないです!
時透無一郎
…仕方ないなぁ



あなた
私がふと目をやった先には男性物の着物があった。
私が仕立てをお願いした袴の布と同じ色の着物で…
あなた
お揃い、出来たら良いのに…
って思ってしまった。
恋仲でもないのに図々し過ぎる願望を消す為に頭を横に振る
時透無一郎
いいよ?
お揃い、する??
あなた
ふぇっ?!
時透無一郎
何その声(微笑
あなた
な、な、なんで!?
時透無一郎
なんでって…思いっきり声に出てたからだけど?
あなた
…///
わ、忘れてください!!
時透無一郎
いいの?お揃い…
それとも嫌?
あなた
うっ…
そんなの嬉しいに決まってるじゃないですか…
時透無一郎
僕はあなたの下の名前とお揃いにしたいんだけど…
あなた
!?///
きっと、私は耳まで林檎のように真っ赤なんだ…


















時透無一郎
お腹空いてない?
時透さんの分も仕立てをお願いしてお店をでた。
(私が支払うと言ったら即答で却下された)
あなた
少し…空きました
時透無一郎
なら甘味処に寄っていく?
あなた
甘味処…
目を見開いて時透さんを見つめる
きっと今、私の瞳は輝いていると思う。
だって甘味処に行くのなんて初めてなのだから
時透無一郎
もしかして…行ったことないの?
あなた
ギクッ
時透無一郎
ないんだね(微笑
じゃあ僕と行くのが初めてかぁ…
あなた
!?
き、聞こえてますけど…嫌でしたか?
恐る恐る時透さんの顔を覗くと口角は上がっていて嬉しそうに微笑んでいた
あなた
ホッ
時透無一郎
ほら、あそこだよ










時透さんと人混みを掻き分けて甘味処へ入る
お店の人
ようこそおいでやす
お二人でしょうか?
時透無一郎
はい
お店の人
こちらへ
そう言って着物を身に纏った綺麗な人が席まで案内してくれて、品書きを渡してくれた
お店の人
お決まりになりましたらお呼びくださいまし
スタスタ





時透無一郎
どれにする?
あなた
すごい、いろいろな物が書いてあってどれが良いのか分からない…
時透さんと同じ物にしようかな…?
あなた
と、時透さんは何にするんですか?
時透無一郎
んー…
僕はまだ決めてないかな、あなたの下の名前が先に選んで良いよ
う…
こうなったら美味しそうな物を——


あ、これ美味しそう!

















え、黒蜜と抹茶の羊羹…美味しそう

このお芋ぱふぇ?って言うのも色とりどりで見た目も綺麗…
どうしよう……
決められないぃ!










このぱんけぇき?たいって言うの気になる……
時透無一郎
どう、決まった?
あなた
え、えっと…
このぱんけぇき?たいって言うの食べてみたいです!
時透無一郎
んー?これにす——
え…
あなた

ど、どうしたんですか?
え、何か駄目だったかな…
もしかして時透さんぱんけぇき?って言うの苦手?それとも鯛焼きの方が苦手だった?…
どうしよう、今からでも変えた方が——













時透無一郎
本当にこれが良いの?
あなた
と、時透さんが苦手な——
時透さんが指差した先を見た瞬間
私の思考回路は停止した














ぱんけぇきたい “恋仲限定”














あなた
!?!?///
あなた
え、や、そのこれは違くて!!…
時透無一郎
僕は別にいいよ?
あなた
え…?
時透無一郎
逆に、君は嫌じゃない?
時透さんと恋仲なんて嬉しいけど…
と、時透さんは嫌じゃないのかな?
だって好きでもない人とその人が選んだ物のせいで強制的に(一時的に)恋仲になるんでしょ?
あなた
わ、私は嫌じゃないですけど…時透さんは——
時透無一郎
だから、僕は嫌じゃないって言ってるでしょ?
あなた
!!//
あなた
な、ならこれ…
食べてみたいです
時透無一郎
うん、ならそれ一つ頼もうか(ニコ





お店の人
お待たせ致しました。
ご注文は?
あなた
え、えっと…このぱんけぇきたいを一ついただけますか…
お店の人
恋仲限定ぱんけぇきたいお一つですね
お店の人
確認の為に恋仲になられてからどのくらいでしょうか
あなた
ぅ…え、あ、その…
時透無一郎
一年です
お店の人
記念日か何かですか?
時透無一郎
はい、今日が丁度一年の記念日です
ギュッ
あなた
え?…///
お店の人
まぁ…!
でしたら特別仕様にしておきますね
時透無一郎
ありがとうございます
トコトコ












あなた
と、時透さん?……
時透無一郎
ん?
お店の人が行くのを確認して離れた時透さんを林檎のような色になった顔で見つめる
あなた
な、なんで…抱きしめたりなんか…
時透無一郎
嫌だった?
あなた
嫌じゃないですけど
あなた
恥ずかしいです…
時透無一郎
なら大丈夫だね
あなた
大丈夫じゃありません!
私の心臓壊す気ですか!?
時透無一郎
僕にそんなドキドキしてくれた?(ニヤ
あなた

し、してません!//

















お店の人
お待たせしました。
ぱんけぇきたいでございます
ごゆるりとお過ごしくださいまし


あなた
わぁ!…
たい焼きの形をしたぱんけぇきの上には沢山の果物と餡蜜がかけられていて、とても美味しそう…


でも、この“ふぉおく”と“ないふ”ってなに…
どうやって食べるの
あなた
時透無一郎
貸して
あなた
!どうぞ
時透さんは“ふぉおく”と“ないふ”を器用に使ってぱんけぇきたいを切っていく

時透無一郎
はい、口開けて
あなた
!?//
“ふぉおく”に果物と生地を刺して私の口元に運んでくる
あなた
じ、自分で食べれますから…!
時透無一郎
渡す時に落ちたらどうするの…
あなた
うっ…
時透無一郎
ほら、口開けて
時透無一郎
あ〜ん
あなた

あ〜ん


パクッ
あなた
!!
美味しい…
時透無一郎
僕も少し貰っていい?
あなた
はい、どうぞ!
時透無一郎
パクッ
時透無一郎

美味しいね、これ
あなた
良かったで——
ん、待て待て待て…
これって関節口付けじゃ……
あなた
ひゃぁ…//
時透無一郎
どうしたの?(ニヤ
絶対わかってる…
あなた
時透さんのせいです…//
時透無一郎
そんな事言って良いんだ?
あなた
うっ…
時透無一郎
もう切ってあげないよ?
あなた
…すいませんでした


この後も関節口付けだぁ…って思いながら食べてました。












お店を出てそれぞれ帰路につく
あなた
楽しかったです
時透無一郎
良かった



時透無一郎
まるで“でぇと”みたいだったけどね
あなた
へっ!?//
とんでもない爆弾発言をした時透さんを勢よく見るとまたあの意地悪そうな笑顔…
あなた
時透さんの意地悪…
時透無一郎
まぁ、そうかもね


あなた
あ、私はこっちなので…
今日はありがとうございました
時透無一郎
うん、ありがとう
僕も楽しかったよ
あなた
では——
時透無一郎
あ、あなたの下の名前!
渡したいものがあるんだ
あなた

なんですか






はいって渡されたのは時透さんの瞳色の簪

あなた
あなた
いただけません…!
こんな高価な物……
時透無一郎
気にしないで、何回も言ってるけど僕が君にあげたいんだ
あなた
…ありがとうございます
大切にしますね
時透無一郎
うん(ニコ




時透無一郎
…僕も言いたい事があるって手紙で書いてたの覚えてる?
手紙…あ!
私が退院の報告をした時のお返事に書いてあった事か
あなた
はい、覚えています
時透無一郎
よかった(微笑み
















時透無一郎
俺——

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