あれ、今日綺麗ばっかり言っている気がする…
まぁいいか。
私が目を輝かせて見ているのは時透さんの瞳と同じ色の袴だ
仕立てた後の見本?候補?として飾ってあった
時透さんに素早く突っ込んでいき口を手で押さえる
自分で仕立てを頼んでから時透さんの口を押さえつけていた手を離した
私がふと目をやった先には男性物の着物があった。
私が仕立てをお願いした袴の布と同じ色の着物で…
って思ってしまった。
恋仲でもないのに図々し過ぎる願望を消す為に頭を横に振る
そんなの嬉しいに決まってるじゃないですか…
きっと、私は耳まで林檎のように真っ赤なんだ…
時透さんの分も仕立てをお願いしてお店をでた。
(私が支払うと言ったら即答で却下された)
目を見開いて時透さんを見つめる
きっと今、私の瞳は輝いていると思う。
だって甘味処に行くのなんて初めてなのだから
き、聞こえてますけど…嫌でしたか?
恐る恐る時透さんの顔を覗くと口角は上がっていて嬉しそうに微笑んでいた
時透さんと人混みを掻き分けて甘味処へ入る
そう言って着物を身に纏った綺麗な人が席まで案内してくれて、品書きを渡してくれた
スタスタ
すごい、いろいろな物が書いてあってどれが良いのか分からない…
時透さんと同じ物にしようかな…?
う…
こうなったら美味しそうな物を——
あ、これ美味しそう!
え、黒蜜と抹茶の羊羹…美味しそうぅ
このお芋ぱふぇ?って言うのも色とりどりで見た目も綺麗…
どうしよう……
決められないぃ!
このぱんけぇき?たいって言うの気になる……
え、何か駄目だったかな…
もしかして時透さんぱんけぇき?って言うの苦手?それとも鯛焼きの方が苦手だった?…
どうしよう、今からでも変えた方が——
時透さんが指差した先を見た瞬間
私の思考回路は停止した
ぱんけぇきたい “恋仲限定”
時透さんと恋仲なんて嬉しいけど…
と、時透さんは嫌じゃないのかな?
だって好きでもない人とその人が選んだ物のせいで強制的に(一時的に)恋仲になるんでしょ?
ギュッ
トコトコ
お店の人が行くのを確認して離れた時透さんを林檎のような色になった顔で見つめる
たい焼きの形をしたぱんけぇきの上には沢山の果物と餡蜜がかけられていて、とても美味しそう…
でも、この“ふぉおく”と“ないふ”ってなに…
どうやって食べるの
時透さんは“ふぉおく”と“ないふ”を器用に使ってぱんけぇきたいを切っていく
“ふぉおく”に果物と生地を刺して私の口元に運んでくる
パクッ
ん、待て待て待て…
これって関節口付けじゃ……
絶対わかってる…
この後も関節口付けだぁ…って思いながら食べてました。
お店を出てそれぞれ帰路につく
とんでもない爆弾発言をした時透さんを勢よく見るとまたあの意地悪そうな笑顔…
はいって渡されたのは時透さんの瞳色の簪
手紙…あ!
私が退院の報告をした時のお返事に書いてあった事か












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!