第100話

ボールが72
1,336
2025/03/11 08:00 更新
乾 尚人(なおと)

日本バレーボール代表選手でセッターを務めていた

彼にかかればどんなボールもその場面で最適のボールへと変化する

その才能は中学生の頃から注目されており高校バレーでは自身のカリスマ性と実力で自チーム毎年優勝へ導いた程

そんな才能マンが結婚した

相手は日本女子バレーボール代表選手でこの人もセッター

バレーは高校から始めたのにも関わらず1年で点取りマンになるという才能マン


こんなバレーをやる為だけに産まれてきたような人達の間に生まれたのが俺だった

この子もバレーの才能を持っているだろうな
私とあなたの子よ
絶対バレーが好きだわ
現実は違った

無人 小学生低学年
乾 無人(子ども)
母さん友達と野球してくる!
待ちなさい!
母さんは俺が産まれた時に現役を引退

今は地域のバレーボールクラブのコーチをしている
乾 無人(子ども)
宿題なら終わらせたよ?
ないと 野球じゃなくてバレーしよっか
乾 無人(子ども)
えー バレーなら昨日もしたじゃん!
乾 無人(子ども)
約束もしてるし行ってくる!!
待って!
あなたは将来母さん達と同じようにバレー選手になるのよ
だから今のうちからバレー練習しておきましょ?
お父さんも今からの方がいいって言っていたし
ね?
この時 素直に頷いておけばよかったんだ

あんなことを言わなければ
乾 無人(子ども)
バレー楽しくないし!
乾 無人(子ども)
友達と色んな遊びしてた方が楽しいからいい!!
乾 無人(子ども)
それに俺しょーらいは内閣総理大臣になる!!
乾 無人(子ども)
行ってきます!
え、
ないと!
乾 無人(子ども)
(今日は久々に父さんが帰ってくる!!)
乾 無人(子ども)
(みんなでマリカーしたいな)
乾 無人(子ども)
ただいまぁー
無人
乾 無人(子ども)
父さん!一緒にマリカーしな
バチン!!!!
乾 無人(子ども)
い‘’っ!!
乾 無人(子ども)
え、?
乾 無人(子ども)
と、父さん?
無人、お前バレーの練習をサボっているらしいな
乾 無人(子ども)
練習?サボり?
乾 無人(子ども)
俺はただ友達と遊んだだけで…
それがサボりだと言っているんだ!!
お前は将来俺や母さんと同じように代表選手になってもらわないと困るんだ!!
何の為にお前を作ったと思って…
乾 無人(子ども)
へ、俺がバレー選手、?
乾 無人(子ども)
やりたいことあるよ
無人、明日から朝4時に起きなさい
そこから7時まで練習だ
学校から帰ってきたらすぐに母さんのクラブチームに行くんだぞ
乾 無人(子ども)
朝4時、?それにみんなと遊ぶ時間は?
そんなものは必要無い
お前はバレーのことだけ考えろ
いいな
乾 無人(子ども)
待って、待ってお父さん!!
無人
今日はもう寝よっか
乾 無人(子ども)
母さん、
乾 無人(子ども)
(そうだ母さんなら父さんがおかしいって言って、)
明日から早いんだから
乾 無人(子ども)
……
そこからは地獄だった

4時に起きて走って、基礎練して

学校行って帰ってきたらすぐに体育館に連れていかれて

そこで中学生に混ざってバレーして10時までバレーして

成績は落としたらいけないからそこから勉強して

日付が変わったら寝る

そんな生活が始まった
中学校はバレーが強い歌神中学校に進学させられた
そこからまた練習がキツくなった
乾 無人(子ども)
はぁ、はぁ
乾 無人(子ども)
(眠い、頭痛い、気持ち悪い、疲れた、休みたい、寝たい、、)
乾 無人(子ども)
(目が回って、)
乾 無人(子ども)
ドンッ!!
無人!何ボッーしてるの?
気の抜け目は油断してる証拠
後10本取れば交代だから頑張りなさい
乾 無人(子ども)
は、い
無人
乾 無人(子ども)
と、父さん
来週から全国の無人世代の子達の試合を見に行くぞ
乾 無人(子ども)
全国、?
情報は知っていれば有利だ
相手のことを知っていれば作戦は立てやすい
分かったな
乾 無人(子ども)
はい
全国大会予選が近づくと毎年連れ回された

北は北海道 南は沖縄まで本当に全国回った

全国を見ると色々分かった

そこまで強くないけど1番楽しんでいるチーム

楽しそうではないけど強いチーム

ある奴に全部任せているチーム

才能の原石や才能の塊の奴らのチーム

色んなチームがいた

だけど 全員、全員
ないこ
なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんで!!
ないこ
なんであんなに、
ないこ
あんなに楽しくバレーをするんだよ、!
ないこ
いいなぁ 俺も、
ないこ
バレーボールを楽しみたかった…
いれいす学園に入ってから人の温かさを知った

そしたら少しは楽しいと思えるようになったんだ

みんなのおかげで

あの呪縛から解放されて、忘れられると思ったのに

ようやく忘れそうだったのに…

何で今なんだよ…

結局俺は、アイツらの人形でしかないんだなぁ

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