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第9話

008┊︎ ただ、そばにいて欲しいだけ
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2025/08/25 01:05 更新
あなた
もう、だいぶ平気だよ
動けるし、痛くないし
そう言っても、彼はずっとそばを離れない

薬を差し出す手は毎日同じ時間に伸びてきて
食事は一緒に食べようとするし、お風呂も一緒に入ろうとするし

朝も夜も、私の部屋の前に“さりげなく”いる
あなた
…無一郎くん
時透 無一郎
なに?
あなた
本当に、そんなに心配しなくても大丈夫だってば~
私は笑って肩をすくめる

けれど、無一郎はまばたきを1度してから小さな声で言った
時透 無一郎
大丈夫ってゆってた時、血まみれで倒れてたよ
あのとき…
思い出す

地面に転がり、声も出せず、
無一郎が駆けつけてくれたあの瞬間

 
時透 無一郎
‪”‬もう大丈夫‪”‬って…その言葉
僕にはまだ怖い
彼は、じっと私を見る

淡々とした声なのに心の奥で何かが揺れているのが伝わった
時透 無一郎
…もし、あのとき間に合わなかったらって何度も思った
だから今も、目を離したくない
私は、そっと彼の袖を引いた

そのまま、ほんの少しだけ距離を詰めて
あなた
ありがと、無一郎くん
心配してくれるの嬉しいよ、ほんとに
彼は少し目を見開いて

そして小さく、ほっとしたように笑った
時透 無一郎
よかった。なら、あと少しだけ君のそばにいさせて
少し、ってどのくらい?って聞こうとしたけど

その笑顔を見てたら、やめたくなった
あなた
うん
ずっとでもいいよ
思わず出たその言葉に、無一郎は不意をつかれたように瞬きをして

顔をほんのり赤く染めた
時透 無一郎
…ずっとか、うん、じゃあもう離れない
そう言って、静かに手を握ってくれた彼の体温は
ずっとそばにいたからこそ伝わってくる、優しい温かさだった
久しぶりの更新
すみませんね

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