放課後
夕闇が迫る旧校舎の校庭。殺せんせーがマッハ20で設置したスポットライトが、一斉にステージ中央を射抜いた。
よし、あれだけ練習したんだ。きっとみんなにも届くよね!
私はアイカツフォンを空へ高く掲げるとそれに呼応するように宝石とアイカツフォンが輝き出す。
その瞬間、殺風景な校庭にまばゆい光の粒子が舞い踊り、アイカツシステムのフィッティングルームが出現した。
前原「……なっ、なんだよあの光! 手品か!?」
神崎「きれい…」
竹林「……光学迷彩? いや、分子レベルで再構成されているのか……?(メガネを光らせる)」
『みんなを笑顔にしたい!だから、力をかして!』
私はちょうど一年前のオーディションで手に入れた、ロリゴシックのレアドレスをセットした。
光のゲートをくぐり抜けると、私の姿は一変する。
アリス風のダークでミステリアスな装いに、ヘッドドレスの黒いリボンが風に揺れる。
ざわつくみんなの前に、私は凛とした表情で立つ。
カエデ「すごい、さっきまでと雰囲気が違う!?」
渚「ほんとうに同一人物なの?」
アクア(前に俺が見た姿と違う…)
イントロが流れ出す。
《チュチュバレリーナ》
花咲 あなた
『つま先で立って 星に手を のばした1日。翼の毛布にくるまれて さぁ脚を休めてーーー♪』
いつものアイドルオーラの可愛らしい桜の花びらに混ざって、ロリゴシック特有の青い薔薇の鎖と、銀色に光る歯車が空間を埋め尽くしていく。
カエデ「……すご……。空気が、震えてる……」
私の歌声は、アイカツの厳しい特訓で鍛え上げたもちろんダンスもね。
『そうね 胸がおどるの。 明日への幕があく~』
正直、トップアイドルに比べればまだまだだ。
でも、一歩一歩のステップに「みんなを救いたい」という重みを乗せて、必死に、優雅に、アリスが迷い込んだ不思議な世界を表現する。
『夜が明ける もうすぐ 頑張るための休息~』
届け、みんなに
『すごく大切なこと、
頬にそっとキスするおやすみ チュチュ・バレリーナ』
スペシャルアピール《クロックサーカス》
――背後に巨大なアンティーク時計が出現し、針が「12」を指した瞬間、無数の青い薔薇が客席に向かって降り注ぐ。
殺せんせー「にゅにゃ!?今のなんですか!?」
渚「まるで、動き出す時計は(運命)で、自分たちの手で変えられる」という希望の旋律に書き換えようとしてるみたい……」
渚やE組の生徒はみんな見とれる。
アクア(……いい顔だ。今のあなたなら、どんな闇さえも照らせるだろうな)
アクアが満足げに目を細め、隣の業が「……へぇ、参ったな」と呟いたその時。
最後のフレーズを歌い上げ、私はアリスがお辞儀をするように、深く、優雅に一礼した。
ドレスが解けて私はいつものスターライト学園の制服に戻った。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!