ごめんなさいまたオメガバースです…
俺は今、過去一緊張している
人生初のお見合い…ッッ!!
まぁ、お見合いという名の結婚相手に合うんですけどね
これは親同士が決めた結婚。
俺の家は所詮ヤクザとか、そう言う表立って言えない事をしている家
でも、金を取り立てるのは約束を守らないやつとか、今の日本の司法では裁けないけど、どうにかして痛い目に合わせてほしい!とか、お願いされた時とかだ。
もちろんその対価の金は貰うけど、そんなに莫大な量でもない。
ここまで聞くといい奴らかも……!と思うかもしれないが
全く違う。
父は周りには愛想がいいが、家族には冷たかった。
お陰で家族仲は最悪。
母はヒステリックになりがちで、よく父と喧嘩していた
そして、俺が5歳のときに…
兄がβだと分かった
そこからの皆の変わりようはすごかった。
兄は昔から優秀だった。皆から期待されていて、絶対にαだろうといわれていた。特に、父の家系からは必ずαが生まれるから兄がαだと言われていた。
でも違った。
母は不貞を疑われ、罵られ、皆から責められていた。
それを聞いていた兄も、とても悲しそうだったし、
悔しそうだった。
直接的に言うことはしなかったものの、廊下ですれ違うときに聞こえよがしに悪口を言っていた。
父は何も言わなかった。
もともと兄には他の家族より優しくしていた筈なのに、α出ないと分かった瞬間からこうも人間は変わるのかと幼いながらに驚いた。
それから、俺は兄とは違ってそこまで優秀ではなかった
勉強を必死になってしてもやっと中の上。
ヤクザに必要な話術もないし、そこまで顔も整っていない。いわゆる一家のお荷物的な存在だ。
まぁ別に目立つのはあまり好きではなかったし、期待されるのも何だか重荷のようで苦しかったから楽だった
そんな俺だから、αにはなれない。βならいいが、Ωだった場合、ヒートのお前を道端に捨ててやる。と叔父に言われたのを今でも覚えている。
今思い出しても腹が立つ。なんだそれ。
子供に言う事じゃあないだろう。でも、それだけ俺は期待されていていなかった。
だからこそ、みんな驚いたのだろう
俺のバースはαだった。
皆喜んだ。母は狂喜乱舞していた。叔父は涙ぐんでいた。父は、初めて俺の前で笑顔を見せた。
皆、みんな笑って喜んでいた。兄も、自分の事のように喜んでくれていた。
でも正直、俺は全ッッ然嬉しくなかった。
俺は別に期待されたいわけでもないし、そこまで物事を上手く収縮させる事もできない。次期当主はお前で決まりだな!!とか言われたが、断固拒否した。
兄の方が、俺なんかより才能がある。
しかもなんだ今更、と、俺は初めて身内に怒りを覚えただから、言ってやったんだ。
「俺は当主になるつもりはないし、このまま無能の称号
を与えられたままでいいよ」
「覚えてない?俺は要領が悪いんだよ」
「貴方達はそんなことも理解できないのか?αのくせに」
そこからはよく覚えていない。
俺のその時の最後の記憶は、父に殴られたとこで終わっている。目が覚めたらベットにいた。
起きたことに気付いた女中が教えてくれたが、俺は丸一日ほど寝ていたそうだ。そりゃそうだ。
大の大人、しかも現役の取立屋のパンチが顎に入ったのだから。
そしてその翌日、俺は勘当された。
正直嬉しかった。これで、やっと、やっと俺は解放される。
そう、思っていたのに
十五年越しに家訪ねてきたと思ったら、俺の勤めてる
会社、入ってる銀行、最近買ったものとかを全て玄関で喋りだして、何事なんだと混乱していると、
「俺たちはこれだけのお前の情報を持っている」
「バラされたくないならば俺に従え。」
恐喝された。
はぁ??
いや、貴方達俺のこと追い出しましたよね?
たった十二歳の子供を百万ちょっと置いて
あんな子供の煽り文句だけで頭に血が昇って手ぇ出すような奴には従いたくない。が、一応、何の用で来たのか
と、問うと、色々分かってきた。
兄が病気になったらしい。
それも前立腺ガンのステージ3。手術をすれば治るけど、俺たちは生命保険に入っていないから手当てが国から出ない。
それに、今のご時世。なかなか依頼が来ないらしい。
良い意味でも悪い意味でもホワイトになっていく世の中
それでお金がない、と。
父はどうせβなのだからそのままにしておけば良いといったら、母が激怒したらしい。
いつもの事じゃないか、と思ったらどうやら違うらしい
怒りながら刃物を振り回し、最終的に、
手術の金を手配させなきゃあんたを刺し違えてもいいから殺す!!と暴れ回ったらしい。
それだけでここまで父の従者を動かすのだから、よほど暴れ回ったのだろう。
こわい。いったい何したんだ……
まぁ、母は色々なところと面識があり、恩を売っていたからそれもあるのだろうけど。
で、なぜ俺のところに訪ねてきたのかというと
手術をする金をすぐには手配ができないから、貸してほしいと頼んだところ貸してくれるところが一つだけあったらしい。そして、その貸した金も返さなくていい、と言われたそう。
でも、その代わりに、お前のところの息子を差し出せ、そして、そいつと私の息子を結婚させる。だと。それで俺が呼ばれたわけだ
まぁ別に恋人もいなかったし問題はない。あと、俺の恋愛対象は男だったし。でも、俺が行くメリットはほぼないじゃないか。
それを指摘すれば、
首筋にナイフを当てられ、これは命令ですから。
従わないなら殺すまでです。
だって。
自己中どもがよ…ッッ!!!
で、まぁ死にたくないんで来ちゃったんですけどね。
はぁ〜……俺結婚するのか……
まぁもう27だしなぁ……そんなもんか…?
う〜〜ん…でもなぁ……。いや、今更やめる気はさらさら無いけど……
衣食住を提供してくれるって言ってたし…まぁいっか…
「失礼します。ぺいんと様」
「あ、はい」
「お連れいたしました。」
「それではごゆっくり。」
「…え……」
可愛い……
え、これほんとにあの人の息子??
すっげぇ可愛い……
「あ、えーと、俺はぺいんとって言います。」
「へぇー!ぺいんとさんですね!」
「僕はしにがみっていいます!」
「しにがみ…くん。」
「あはっ!あの〜僕が生まれた時に親戚の人が3人も同時
に亡くなっちゃったからしにがみって名前なんです」
な、んだそれ……
しにがみくんは関係ないじゃん。
「は…?え、それってしにがみくん関係ないよね?」
「ん〜まぁ、多分関係ないですけど!特に日常生活で困
ることないんで!」
「それにしにがみってかっこよくないですか!」
「…」
「ふはっ…!」
「ポジティブだね〜〜。しにがみくん」
「あえ?よく言われます!」
「あは。そっかそっか。でもまぁ、無理しなくっていい
からね。これからは俺がいるし」
「え?」
「あ」
しまったぁぁあぁあ!!
何だ!!プロポーズみたいじゃん!!
いやまぁ結婚するけど!!
ど、どうしよう……こんな事言われても困るだけだよね…
「あ、りがとうごさいます……」
「あ、いえ……」
か、顔が見れない……
「あの……」
「失礼致します」
「わっ…!?ビックリしたぁ…」
「ほほ。坊っちゃんのビビリは変わりませんね」
「いや!昔よりは驚かなくなってるよ!」
「そうですか。」
「絶対信じてないよね!?」
「まぁまぁ。それより、夕食の時間です。」
「あ、ありがとうごさいます。」
「いえ。私共めに出来ることはこれくらいしかありませ
んからね」
「では、ご案内いたしますね。」
正直めっっちゃ充実してる。
え??ご飯は凄い美味しかったし、大浴場かよってくらいの大きさのお風呂にも入ったし……
最高では?
寝室に案内されてるけど……この家広いな……何坪くらい
あるのだろうか…
そういえば、しにがみくんご飯食べ終わった位から見てないなぁ…大丈夫かな…
「ここでごさいます。」
「あ、そうですか。ありがとうごさいます。」
「いえ、では、私はこれで」
「おやすみなさい」
「はい。おやすみなさいませ」
さて……俺も寝るかな…
そう呑気に考えて襖を開けた過去の自分を殴りたい。
本当に、過去に戻れるなら全力で止めるだろう。
開けた目の前に……
全裸のしにがみくんが布団の上に座っていたのだから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!