「どこまで行くの?」
狐の妖「夏目殿が通っている学校というものに行く」
学校…。
学校にはいい思い出がない。
夏目という人間も、私と同じように学校が好きではないのだろうか。
人間の友達はいるのだろうか。
家族に愛されているのだろうか。
狐の妖「ここだ」
森をぬけた先に、校舎が見える。
「ここなの…?」
狐の妖「ここだが、どうかしたか?」
「私の通っている学校もここだ」
通っていると言っても、最近は出席していない。
行ったところで楽しいものではない。
学校にも妖怪というものはいる。
それが他の人には見えない。
それだけで気味が悪いと怖いと指をさされ続けてきた。
狐の妖「夏目殿だ」
狐の妖が指さす方に目を向ける。
薄茶の髪に、細い体。どこか遠くを見つめているような瞳。
狐の妖「行くぞ」
「えっ」
狐の妖が夏目という人間の前に飛び出した。
夏目「うわっ」
びっくりした表情をした後に、私の方に視線を向ける。
夏目「いや、虫が飛んできて」
他の人には見えないから、そうやって嘘をつき続けてきたのか。
「大丈夫。私には見える」
夏目「え!?」
狐の妖「夏目殿にどうしても会わせたくて連れてきた人間の娘です。」
?「トドリではないか」
狐の妖「その声、斑か?」
夏目という人間が持つ鞄の中から大きい猫のようなものが出てきた。
夏目「ニャンコ先生」
ニャンコ先生「不思議な雰囲気の娘だな」
大きい猫は、私のことをじーっと見つめる。
「どうして、こんな強い妖を連れているんだ」
ニャンコ先生「人間のくせに、私の力が分かるとは」
夏目「先生は用心棒なんだ。」
「友人帳というものを守ってもらうためか」
友人帳という言葉を出した途端、夏目の顔色が変わった。
夏目「どうして、知っている?」
鞄を持つ夏目の手に力が入った。
「そこの妖に聞いた。友人帳がどういうものかも知らないし興味などないから安心しろ」
その言葉にほっとしたように力を抜いた。
夏目「そういえば、自己紹介してなかったね。俺は夏目貴志。で、俺の用心棒のニャンコ先生だ」
「私は戸田あなた」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。