ヨンボクが、そっと振り返ろうとした瞬間だった。
ぎゅっ、と。
背中から、強く、温かい腕に包まれる。
驚く暇もなく、抱きしめられた。
名前を呼び掛けて気が付いた……
部屋に満ちるのは、濃密な匂い。
ヒョンジンのだけじゃない。
自分の体からも、甘い香りが 部屋を埋め尽くす勢いで、滲み出てているのが分かる。
耳元でかすれる声。
余裕のない息遣い。
なのに_______
必死に冷静を装おうとするヒョンジンの声が、苦しくなるほど優しい。
首に顔を埋めたまま、
ヒョンジンは、まるで自分を落ち着かせるようにヨンボクの体に触れていた。
そのまま、強くまた抱きしめる。
ヨンボクの胸の奥が、じんわりと熱くなる。
どうしようもなく、愛しくて、苦しくて、満たされたい。
ぽつりとこぼれた言葉は、
まるで鍵のように、ヒョンジンの理性をそっとほどいた。
そっと振り返ると、その先にいたのは_____
額に薄く汗をにじませ、
開き切った瞳孔のままに、こちらを見つめる、番の顔だった。
かすれたその一言が、ヨンボクの涙腺をまたふわりと緩めた。
唇が、そっと触れ合う。
求めるように、愛するように、確かめ合うように。
ヒートなんて、ただのきっかけだ。
本当はずっと、ずっと触れたかった。
その温もりに。
ふたりだけの巣で、本能も、言葉も、全部がやっと重なり始めた___________
_____To be continued.

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!