前の話
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強く細い雨が降っている。
僕は複数人に押さえられながら、目の前の人に訴える。
冷たい雨に打たれながら、僕は叫ぶ。
痛い、背中が痛い…腕も、足も…全てが痛い。
キミヤが優しい声色で僕の名前を呼ぶ。
頭を動かし、キミヤの顔を見る。
彼の表情は、何かを諦めたような…そんな表情をしていた。
その言葉で、僕は全てを悟った。…悟って、しまった。
彼の目からは、ポロポロと涙が零れていた。
今すぐにでもその涙を拭い、抱きしめてあげたい。
僕は子供のように駄々をこねる。…その度に、兵隊に蹴られる。
キミヤは泣きながら、笑う。笑う。笑う。
嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
その瞬間、キミヤは執行人によって首を跳ねられた。
キミヤの首は、僕の目の前に転がってきた。
…キミヤと目が合った。…あの瞬間の、笑っている顔のままだった。
うわあぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ!!!!!
雨が上がり、虹が架かる少し前…
僕の恋人は、一足先に虹の橋を渡って行ったのだった。








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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!