< side 紬 .
学校へ向かう途中 、私 ——— 紬は
腹の奥から沸々と湧き上がる
黒い気持ちを必死に抑え込んでいた 。
原因は少し前に見た二人組 。
___ お兄ちゃんとあなたさんだ 。
お兄ちゃんのあんな表情 …… 一番傍にいたはずの
私だって見たことないぐらいに 優しくて 、甘くて 。
単純な妬みじゃ片付けられない程の
怒りが煮えるのを感じた 。
そして あなたさんの微妙に満足げな瞳 。
全てが私を苛立たせる 。
お願いだからさ 、とぶつぶつ続ける 。
否 、さすがに反発をするとは思っていないが 。
同時に心のどこかで望んでいるのは 、
あなたさんが少しだけ傷つく場面 。
いや 、できればもっと ………
なんて 。
_____ あ 、そうだ 。
自身の意地の悪さに 、
自分でも小さく笑みが零れる 。
私はスマホを取り出した 。
あなたさんとのトーク画面を開き 、
指先が震えるように文字を打ち込む 。
————— あなたさんが先にやったんだから 。
私から先に奪ってったのは貴女 。
… ね ? 自覚 、あるでしょ ?
自覚があるから … 私に従ってるんだもんね 。
これくらい当然だよ 。
だからさ 、約束ぐらい破っても良いよね ?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!