春の終わり。あなたは、少しずつ膨らんできたお腹を撫でながら、窓辺に座っていた。阿部亮平は、彼女の隣でノートを広げていたが、時折彼女の顔を気にしていた。
あなたは、少しだけ笑ってみせた。その笑顔に阿部はそっと手を伸ばした。
その言葉に、あなたは目を細めた。
最近、夜中に目が覚めることが増えたあなた。阿部は、眠い目をこすりながらも毎回そっと水を差し出してくれた。それは、ふたりだけの"静かな約束"だった。
ある日、妊婦健診の帰り道。あなたは、エコー写真を見せながら言った。
阿部は、写真を見つめながら、静かに言った。
その夜、ふたりはベッドに並んで横になりながら、未来の話をした。
あなたは、阿部の手を握りながら微笑んだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!