自分が死んだあとも、
泣く魔女がいた。
居場所を失う子がいた。
だから、再び『夜そのもの』として
この世に蘇った。
その途端、扉が飛んだ。
双子は同時に動いた。
魔法陣が光る。
魔法陣は命令を拒否し、夜空に解けていく。
夜は双子に力を貸すことを辞めたようだった。
優花の幻覚が、
響と奏の認識をズラす。
胸に手を当てて
璃譜は目を瞑った。
すると、胸に当てた手が光り始めた。
拳を前に突き出す。
その瞬間、光ではない
夜に馴染んだ輝きが走る。
双子の弟が、
吹き飛ばされ、地に伏した。
無力化した奏と
奏に意識がいった響。
反撃するのに余裕がある程だった。
夜が閉じ始める。
暗闇が薄くなっている。
潔く響は魔道具を下ろした。
店主は何も言わない。
何も言わずに双子の近くに寄る。
そして4人の方を振り返った。
またしても無言だったが、薄く微笑んだ。
次の瞬間夜が爆ぜた。
気づけば
いつもの夜になっていた。
《Midnight Atelier》は無くなっていた。
看板も、灯りも。
返事はなく、
冷たい夜風だけが吹く。
それが答えだった。



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!