第31話

まだ目を見れない②
1,318
2022/07/29 23:23
あなたside
憲兵に連れられ、エレンが審議に入ってきた





当然の如く、手錠をかけられていた





憲兵「そこに跪け!」





エレンは大人しく跪いた





そしてエレンはその場で、手錠を固定された





審議所にいる全ての人の視線が、エレンに向いた





エレン(何なんだこのメンツ………?そもそもこれは、一体何を裁く場何だ?)





エレンが今の状況について行けてないことが、視線の泳ぎ方で分かった





その時、エレンと目があった





エレン(お前ら……………)





ガチャ





審議所の扉が開き、ある男の人が入って来た





ダリス・ザックレー…………





ダリス「では、始めようか」





審議が始まった





ダリス「エレン・イェーガーくんだね?君は公の為に命を捧げると誓った兵士である 違わないかい?」





エレン「はい……」





ダリス「異例の事態だ この審議は通常の法が適応されない兵法会議とする 決定権は全て、私に委ねられている 君の生死も、今一度改めさせて貰う」





アルミン(やっぱり!)





審議の議題は予想通りだった





ダリス「異論はあるかね?」





エレン「……ありません」





ダリス「察しが良くて助かる 単刀直入に言おう やはり、君の存在を隠す事は不可能だった 君の存在を、何れかの形で公表せねば、巨人とは別の脅威が発生しかねない 今回決めるのは、君の動向をどちらの兵団に委ねるかだ 憲兵団か、調査兵団か では、憲兵団より案を聞かせてくれ」





ナイル「はい 憲兵団主団長、ナイル・ドークより提案させていただきます 我々は、エレンの人体を徹底的に調べ上げたのち、速やかに処分すべきだと考えております」





その答えから、憲兵団はエレンを脅威と認識したということが分かった





予想通り………





ナイル「彼の巨人の力が、今回の襲撃を退けた事は事実です しかしその存在が今、内乱を巡る波紋をよんでもいる なのでせめて、出来る限りの情報を残してもらったのちに、我々人類の英霊となっていただきます」





ニック「そんな必要は無い!奴は神の永地である壁を欺き……………」





エレン(あれはウォール教の…………5年前は誰も相手にして無かったのに 偉くなったもんだな)





ダリス「では次に、調査兵団の案を伺おう」





エルヴィン「はい 調査兵団13代団長 エルヴィン・スミスより提案させて頂きます 我々調査兵団は、エレンを正式な団員として向い入れ、巨人の力を利用してウォールマリアを奪還します 以上です」





憲兵団の意見と違い、エルヴィン団長の提案は簡潔





ダリス「……ん?もういいのか?」





エルヴィン「はい 彼の力を借りれば、ウォールマリアは奪還出来ます 何を優先するべきかは明白だと思われますが」





明白………





全くその通りだ





これからの人類の未来を考えるのなら、答えは決まっている





でも、それを考えられない者も世の中にいる





ダリス「そうか………因みにその作戦遂行は、何処から出発するつもりだ?ピクシス、トロスト区の壁は完全に封鎖してしまったのだろう?」





ピクシス「あぁ、もう2度と開閉出来んじゃろう」





エルヴィン「東のカラネス区からの出発を希望します そこからシガンシナ区へ 1からルートを模索して、接近します」





「ちょっと待ってくれ!今度こそ全ての扉を封鎖すべきじゃ無いのか?超大型巨人が破壊出来るのは扉の部分だけだ そこさえ頑丈にすればこれ以上攻められることは無い!」





「黙れ!商会の犬共め!巨人の力を使えば、俺達はまたウォールマリアに戻れる!」





「これ以上、お前らの英雄ごっこに付き合ってられないんだよ!」





リヴァイ「よく喋るな豚野郎 扉を埋め固めてる間、巨人が待ってくれる保証が何処にある?テメェらの言う我々ってのは、テメェらが肥えるために守ってる友達の話だろ?土地が足りずに食うに困ってる人間は、テメェらの豚共の視界に入らねぇと?」





「わっ我々は、扉さえ封鎖されれば助かると話しているだけだ」





ニック「よさぬか、この不届き者め!神より授かりしローゼの壁に、人間風情が手を加えると言うのか!貴様らはあの壁を、人知の及ばぬ神の異名を見ても、まだ分からな……………」





アルミン「彼らのせいで、壁上を武装する事さえ時間がかかったんだ」





リコ「支持と権力だけは持ってるからな」





あなた「タチが悪いですね……」





ドン ドン ドン ドン ドン!





ダリス「静粛に 個人の主義、主張は別の場所で訴えて頂こう イェーガーくん、確認したい 君はこれまで通り兵士として、人類に貢献し巨人の力を行使出来るのか?」





エレン「はい、出来ます!」





ダリス「ほぉ だが、トロスト区防衛戦の報告書にはこう書いてある 巨人化の直後、あなた・シルバー、ミカサ・アッカーマン目掛けて拳を振り抜いたと そして、それによってあなた・シルバーが怪我を負ったと」





その瞬間、エレンは私達を見た





私は急いで襟で首元を隠した





首にはまだ包帯が巻かれている





アルミン(制御出来なかったことは、覚えて無いんだ)





ミカサ「チッ………」





リコ「報告書に嘘を書けって言うのか?この事実を隠す事は、人類の為にならないんだよ」





ダリス「あなた・シルバー、ミカサ・アッカーマンは?」





ミカサ「はい 私達です」





ダリス「君達か 巨人化したイェーガーが襲い掛かったのは事実か?」





ミカサ「……………」





あなた「……………」





リコ「誤魔化さずに答えないと、エレンの為にならないぞ」





あなた「………はい、事実です」





「やっぱり、巨人は巨人じゃ無いか」





エレン(俺がミカサとあなたを殺そうとした?俺がが?!それにあなたは怪我って……………)





ミカサ「しかし、それ以前に私達は2度、巨人化したエレンに命を救われました 1度目は、まさに私達が巨人の手に落ちる寸前に、巨人に立ちはだかり、私達を守ってくれました 2度目は、私とあなたとアルミンを榴弾から守ってくれました これらの事実も考慮して頂きたいと思います」





ナイル「お待ち下さい 今の証言には、かなり個人的感情が含まれていると思われます ミカサ・アッカーマンは、幼い頃に両親を亡くし、イェーガーの家に引き取られたと言う事情があります」





まさかその事を持ち出されるとは思ってもいなかった





ナイル「更に我々の調べでは、その時の経緯について驚くべき事実も見つかっております」





まさか……………!





ナイル「エレン・イェーガーとミカサ・アッカーマン、そしてあなた・シルバーは当時9歳にして、強盗誘拐犯である3人の男を刺殺している いかに正当防衛とは言え、根本的な人間性に疑問を感じざるを得ません 果たして彼に、人類の命運、人材、資金を託すべきなのかどうか」





この人達は一体、何を考えているのだろう………





何を言っているのだろう…………





根本的な人間性………?





次の瞬間私は、目の前にある柵を思い切り叩いた





ドン!





皆んなの視線が私に向いた





アルミン「あなた……?」





あなた「根本的な人間性と仰いましたよね?じゃあ
貴方達は自分が誘拐され、殺されそうになっても受け入れるって事ですか?」





ナイル「一体何を言って………」





あなた「だってそう言う事ですよね?さっき貴方は正当防衛とは言え、私達が誘拐犯を刺殺したことが人間的におかしいと、そう言いましたよね?だったら貴方達は自分が殺されそうになっても、何もせず受け入れるってことじゃ無いんですか?それが貴方達が言う、根本的な人間性じゃ無いんですか?」





「そんなわけ無いだろ!」





「何言ってんだ!」





あなた「だったら……………私達を非難するのは辞めて頂きたい 自分が同じ立場だった時のことも考えず、人の過去をほじくり返して……………それが憲兵団のやる事ですか!」





ナイル「………………!」





ミカサ「あなた……………」





エレン「あなた………お前………………」





私の言ったこの言葉が、審議に影響するかは分からない





私は、少しでも憲兵団側に私達の事も分かってもらいたかった





でも、そんな簡単にはやっぱりいかなかった





「何言ってやがる!自分達がやった事を正当化する気か!」





「やった事は結局人殺しじゃねぇか!」





「頭おかしいんじゃねぇのか!」





「結局、アイツエレンは子供の姿でこっちに紛れ込んだ巨人に違いない」





「アイツらもだ 人間かどうか疑わしいぞ!」





私とミカサは指をさされそう言われた





「そうだ!念の為に解剖でもしたほうが………」





あなた「……………!」





エレン「待ってください!俺はバケモノかもしれませんが、コイツらは関係ありません!無関係です!」





「信用できるか!」





エレン「事実です!」





「庇うって事はやっぱり仲間だ!」





エレン「違う!!!!」





ガチャン!





エレン「いや………違います しかしそちらも、自分達に都合の良い憶測ばかりで話を進めようとしている」





ナイル「なっ何だと……………!」





エレン「大体あなた方は…………」





エレン(まずいか………?)





エレン「巨人を見た事もないくせに、何がそんなに怖いんですか?」





エレン(これ以上は黙ったほうが…………いや、言ってやる!思ってる事全部!)





エレン「力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか?生きる為に戦うのが怖いって言うなら、力を貸して下さいよ この、腰抜け共め」





「なに?!」





エレン「良いから黙って、全部俺に投資しろ!!!」





ナイル「………………構えろ!」





憲兵「ハッ!」





憲兵はエレンに銃を向けた





エレン「……………?!」





そして次の瞬間





ドッ!





エレンはリヴァイ兵長に蹴られた





あなた「………………?!」





リヴァイ兵長はその後も、エレンを蹴り続けた





ミカサ「………………?!」





ミカサがエレンを助けようとした時





アルミン「待ってミカサ!」





アルミンがミカサを止めた





リヴァイ「これは自論だが、躾に1番効くのは痛みだと思う 今お前に必要なのは、言葉による教育ではなく教訓だ しゃがんでるから丁度蹴りやすいしな」





ドッ!





ドカッ!





ドッ!





リヴァイ兵長はまたもエレンを蹴り続けた





その光景は、見ていて全く良いものでは無かった





ナイル「…………待て、リヴァイ」





リヴァイ「何だ?」





ナイル「危険だ…………恨みを買ってそいつが巨人化したらどうする?」





リヴァイ「何言ってる?お前ら、コイツを解剖するんだろ?コイツは巨人化した時、力尽きるまでに20体の巨人を殺したらしい 敵だとしたら、知恵がある分厄介かもしれん だとしても俺の敵じゃ無いがな だがお前らはどうする?コイツを虐めた奴らもよく考えた方がいい 本当にコイツを殺せるのか」





エルヴィン「総統、ご提案があります」





ダリス「何だ?」





エルヴィン「エレンの巨人の力は、不確定な要素を多分に含んでおり、危険は常に潜んでいます そこで、エレンの管理をリヴァイ兵士長に任せ、その上で壁外調査に出ます」





ダリス「エレンを伴ってか?」





エレン「はい エレンが巨人の力を制御出来るか 人類にとって利がある存在かどうか その調査の結果で判断して頂きたい」





ダリス「エレン・イェーガーの管理か………出来るのか、リヴァイ?」





リヴァイ「殺す事に関しては間違いなく 問題は寧ろ、その中間がない事にある」





ダリス「……………ふっ、結論は出た」





ガチャン





審議の結果、エレンの動向は調査兵団に決まった





私とミカサとアルミンは取り敢えずほっとした





そして私達は審議所をら出ようとしたその時





エルヴィン「そこの君、ちょっといいかい?」





振り返るとそこにはエルヴィン団長





エルヴィン「あなた・シルバーだったね?少しいいかい?」





調査兵団団長のエルヴィン団長が一体私になんの用が……………?





理由は分からないが、私は承諾しエルヴィン団長の後について行った





エルヴィン「ちょっとここで待ってもらっていいかな?呼んだら入って来てくれ」





あなた「はい!」





エルヴィン団長はある部屋へ入っていった












































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