第11話

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2025/03/01 09:05 更新
『……、』




言葉が出なかった。




喉につっかえて、消えていった。




言いたいことが見つからなかった。




何か、言いたかったはずなのに。




何て言ったらいいのか分からなくて、唇を噛むことしかできない。




やるせなくて噛む力を少し強めた時、スマホが震えた。









LINE




>及川徹
及 川 徹
 あなた今日来ないの!? 12:56 



一 ノ 瀬 あなた
 既読 12:56 ごめん今日は行けない 
一 ノ 瀬 あなた
 既読 12:56 友達と食べるから 



及 川 徹
 まさか彼氏……!?!? 12:57 



一 ノ 瀬 あなた
 既読 12:57 友達って文字見えない??? 



及 川 徹
 無視していいぞ 12:57 



一 ノ 瀬 あなた
 既読 12:57 ありがと岩ちゃん 



及 川 徹
なんで岩ちゃんって分かるの!?  12:57 



一 ノ 瀬 あなた
 既読 12:57 静かさ 



及 川 徹
 え? 12:58 





つい通知を見て嬉しくなってしまった自分に、ため息が出る。




こんな状態ならいっそ、紗希ちゃんの言葉に乗っかってしまった方がいいんじゃないか。




そんな気すら、してしまう。




でも、結局私はできないから。




最後に選ぶのは、いつも同じで。




『……ごめん紗希ちゃん、紗希ちゃんを応援したいけど、その言葉には賛同できないかな』




ねぇ紗希ちゃん、私ね、一緒に居たい人がいるんだ。




向こうはそう思ってなくてもいいから、だから。




『もう少しだけ、私、今を楽しんでいたいの』




誰かと恋人同士になったら、きっと今の関係は崩れてしまうから。




そしたら、誰かと、必ず距離が空いてしまうのは目に見えてる。




だったら、もう少しだけ。




今は、このままがいい。




例え、報われないことが分かっていても。




南「……そう言うと思った、」




紗希ちゃんは、困ったように笑う。




ごめんね、苦しくして。




でも、こうでもしないと、きっと私も紗希ちゃんも幸せになれないから。




『一緒に頑張ろうよ、紗希ちゃん』


南「……うん、」




報われないなら、せめて。




足掻くくらいは、許してくれますか?




そんな願いを、誰に言うでもなく、痛いくらいに晴れている空に心の中で願った。
月 飴
月 飴
 先に言っておきますが紗希ちゃんはめちゃめちゃ 
 いい子です、ご安心ください←

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