第28話

〜柊佑3泊4日の修学旅行〜in北海道編①
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2022/07/10 09:00
───これは、付き合って3ヶ月が経った2人のお話。
丸山 梨花
丸山 梨花
そういえば、
もうすぐ2年は修学旅行だね〜
丸山 梨花
丸山 梨花
お兄ちゃん、『北の大地〜!』
とか言って張り切ってたよ
森川 海
森川 海
……北海道だもんね。
3泊4日も先輩に会えないなんて。
地獄でしかない!!
丸山 梨花
丸山 梨花
もうすっかりラブラブだね〜!
まさかあの内海先輩が、
女の子を溺愛する日が来るなんて
季節はすっかり秋。
窓から見える校庭は、赤や黄色の紅葉で彩られている。

そして、もうすぐ先輩たち2年生は、3泊4日の修学旅行へと旅立ってしまう。

それが寂しくて、寂しくて……今から気分がブルーの私を梨花は"大袈裟"だと笑う。

もちろん梨花は、"お兄ちゃんがいない3日間なんて幸せすぎる"と羽を伸ばす気満々のご様子だ。
***

───昼休み。

付き合い始めてからは週に1、2回、先輩とお昼を一緒に食べている。

いつものように先輩の教室までやってきた私は、いつもとは違う光景に目を疑った。
森川 海
森川 海
な、なに……あれ
見れば、クラスの女の子たちが先輩を取り囲むように群がっていて、その中心にいる先輩はほぼ廃人と化していた。
美女
美女
だーかーら!内海くんは
私と同じ班になるよね!?
取り巻き①
取り巻き①
私たちの班よ!ね?
取り巻き②
取り巻き②
やだ!
私が1番に声かけたのに〜!
……ま、まさか!
ここにいるのはみんな、修学旅行で先輩と同じ班を狙ってる子たちってこと!?

う、嘘でしょ……。
一応、先輩には彼女がいるんですけど!!
美女
美女
ね、内海くん!
誰と同じ班にするの?
取り巻き①
取り巻き①
そうだよ〜!
内海くんがハッキリしてくれないと
取り巻き②
取り巻き②
そうそう!
内海くんが選ぶなら
選ばれなくても恨みっこなし!
森川 海
森川 海
…… 先輩、誰を選ぶの?
女子たちにもみくちゃにされていた先輩が、不意に私に気付く。途端、嬉しそうに口角を上げるから、さっきまでのハラハラもどこへやら……私の口角まで緩んでしまった。
内海 柊佑
内海 柊佑
俺は大輔と同じ班にする。
……どの班と一緒になるかは、
大輔にでも聞いて
それだけを早口で告げると、女子たちを振り返ることなく私の元にかけてくる先輩。
内海 柊佑
内海 柊佑
来てたんなら声かけろよ
森川 海
森川 海
……先輩、女の子たちと
お取り込み中みたいだったので
内海 柊佑
内海 柊佑
ったく、嫌味言うなよ。
海が最優先に決まってんだろ?
森川 海
森川 海
……ほんとですか?
私の頭をポンポンと優しく撫でてくれる手を嬉しく思いながらも、プクッと膨らんだ私の頬は元に戻らない。
内海 柊佑
内海 柊佑
当たり前だろ?
森川 海
森川 海
だって……彼女ができても、
先輩の人気、全然変わらないし。
むしろ、"あんな彼女より私の方が"
って女の子たちがわんさかいるかも
内海 柊佑
内海 柊佑
……考えすぎだから。それに、
俺は海じゃなきゃダメなんだって
何回言わせんだ?
森川 海
森川 海
……ほんとに、ほんとですか?
内海 柊佑
内海 柊佑
あんましつこいと、
ここでその口塞ぐぞ?
森川 海
森川 海
……な、
だってだって、不安なんですよ。
私と会えない間にも……クラスの女の子たちは先輩と一緒にいられるなんて。

考えただけで……不安。
森川 海
森川 海
でも……やっぱり不安です
内海 柊佑
内海 柊佑
じゃあやっぱり、
海の不安が消えるくらい、
……激しいやつしとく?
森川 海
森川 海
わ、ちょ、先輩……!
私の鎖骨にチュッと唇を寄せた先輩に、ビクッと身体がはねる。
内海 柊佑
内海 柊佑
かーわい
森川 海
森川 海
〜〜も、もう!
そんな私を余裕な顔して愛でる先輩に、今日もドキドキさせられっぱなしです。

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