食欲も湧かない。
やる気も出ない。
俺の心が、空っぽみてぇだ。
ただぼーっと一点を見つめる。
19歳。
二十歳を迎える前に姉は命を絶たれた。
高校卒業して2年程。
一緒に住んでいたこの部屋から、いや
19年間一緒にいた片割れの姉が急にいなくなってしまうのはこんなにも辛く、苦しいことなのかとひしひし思う。
ふと、一本の剣が目に入る。
大事に飾ってあるそれは、姉の個性である硬剣。
剣を作り出せる個性だ。個性特訓で初めて作り出した最高傑作だと言って、姉はそれを丁寧に飾っていた。
入れ物に近づく。
ふと、姉の言ったその言葉が蘇る。
独り言をブツブツ呟く。
呟くほどに寂しさが増す。
俺は何度も何度も姉の名前を呼び続ける。
その時
ぽと
俺の手の甲に一滴の何か。
その水滴は止まることを知らない。
どんどんどんどん零れてくる。
それを涙だと理解するのには時間がかかった。
目を拭ってもどんどんどんどん、涙は止まらない。
目の前には
姉がいる。
ずりずりと姉の膝に詰め寄る。
頭を姉の太ももに預けようと頭を傾ける。と
ゴッ
俺の頭は姉の太もも、ではなく
床にあった。
姉の、あなたの下の名前のところでもう叫び出したかったのに、
この現実から逃げ出したかったのに
神様はそれを、現実はそれを許してくれることは無い。
俺の鼻をすする音が静かに部屋に響いた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。