#ロウロ組年越しカウントダウン
12月25日
年越しまであと6日!
↑ ここから何故か続いてる。
クリスマス。
ああ素晴らしき聖夜、
街中が浮かれ気分で夜を迎える。
この日だけは、夜の街も普段より明るくなる。
「 …あら。珍しく予定より早いのね 」
「 いつも通り時間ピッタに到着するオマエもそれはそれでどうなん? 」
五分前行動大事だろ。
そう言いながら、スマホの画面から顔を上げた。
「 ワ、ア…っとォ…………ア、ウン。
似合ってると思うワ…… 」
「 挙動不審やめなさい、シバくわよ 」
昏くなったので、ワイルドエリアの探索は終わりにして。
一旦オレは実家に、ヒガンはホテルに戻って、着替えてから集合して飯に行く予定だったのだ。
見慣れた白衣をすっかり脱ぎ捨てて、
アイボリーのコートに柔らかな緑のマフラー。
日の光のような金髪がイルミネーションに照らされて、
きらきらと光の糸のように舞っている。
そりゃ挙動不審にもなるだろ、誰かと思ったわ。
「 で?生憎、シュートシティは初めてなのよね。
エスコートなさい、地元民? 」
「 ハイハイ、分かりましたってばオジョーサマ…… 」
だが残念、中身はいつも通りだった。
マァ服変えただけで中身変わったらそれこそ精神科医の出番だろ。
いやコイツ精神科医だった、自分で自分って診れんのかな…
「 ……なあ、ヒガン 」
「 なによ? 」
ふと、小物で飾られたショーウインドウが目に入って。
なんにも考えずに、ふと声を掛けていた。
見知らぬ場所の癖して、一人で先に行っていたヒガンが、足を止めて振り向く。
浅葱の瞳の中に、クリスマスツリーのオーナメントが映っていた。
「 …その、なんか欲しいもん、ある? 」
「 唐突に何よ…………あぁ、今日ってクリスマスだったわね… 」
それ忘れんのどうなの?
オレがどんな感情でオマエに「25日出掛けねー?」って誘ったと思ってんの?
オマエマジでそれどうかと思うんだけど?
全部、口には出さなかった。
口に出した瞬間に五倍の毒で返って来ることは、確定していたから。
「 プレゼント、ね…中学卒業から長らく貰ってないわ 」
「 あ、オレもだわ…まあそんなもんじゃね? 」
オレのとなりで、ショーウインドウの中を見つめるヒガン。
何度でも思うがちっせーな。
実際オレの身長が高いだけで、ヒガン自身は女性の中じゃ高い方だけど。
「 ……あ、 」
「 どした? 」
煌くガラスの向こう側を彷徨っていた視線が、ふと一点に落っこちた。
目線の先を伺おうにも、身長が違い過ぎてわかんねー。
194㎝と166㎝だぜ?驚けよ、24㎝差。
歩幅も違うんで、今日のオレはびっくりするぐらい遅く歩いている。
「 ……あのレコードプレーヤー、少しだけど気になるわ 」
「 オマエ遠慮ねーのな。まあ買える金額なんだがよ 」
綺麗に高っけーヤツが示された。ヒガン、オレオマエのそういうとこマジよくないと思うんだ。
「 あんたは何が良いのよ?聞いてあげるわ、答えなさい 」
「 上から目線~~……そうだなあ、んじゃコレで 」
新しいのが欲しかったワケだし、丁度良い。
シルバーの小さな鈴形のイヤリングを示した。本物じゃねーし、そう煩くはねーだろ。
「 じゃ、買いましょうか 」
「 おー 」
レコードプレーヤーを探すときに、ふと羽モチーフのネックレスが目に付いて。
なんとなしに手に取って、つい買ってしまったけど。
それ以外は何もつつがなく、予定調和のように買い物は終わって。
「 はい。ついでにハンドクリーム買っといたわ、有難く使いなさい 」
「 コイツ、手袋しているのにオレの手が荒れてることを見抜いて…!? 」
「 カマかけたつもりだったのだけれど。普通に荒れてたのね…… 」
指はもう一つの商売道具でしょうに、とかなんとか言いながらオレに紙袋を押し付ける。
想定外のプレゼントを貰ったワケだし、まあ…あのネックレス渡したって、罰は当たらねーだろ。
そう考えて、レコードプレーヤーと一緒にネックレスも渡した。
「 ……ネックレス? 」
「 羽モチーフだぜ~!かわいーだろ 」
「 ………………重いわね 」
「 重ッ、は!?!?!? 」
そんなつもりねーし!!!
店を出て通りをぎゃあぎゃあ騒ぎながら歩くオレたちを、
広場にあるクリスマスツリーだけが、しずかに、やさしく見ていた。
年越しまで、あと6日。
ああ、どうか、来年も。
こんな風に、ヒガンといっしょに、すごせますように。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。