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第22話

#20
221
2022/04/05 15:26
マネージャーside


Live House ジャニーズ銀座 2014

中村さんはその日、学校を休んでシアタークリエの関係者席にいた。

どうしてもSnowMan単独のステージを生で見ておきたかったらしく、社長に無理やり席を取ってもらったらしい。

中村さんの手元にはあのノートとシャープペンシル。

必死でメモをとる中村さんの表情はいつにも増して真剣で、微かに焦りも伺えた。


「ねぇ、あれ中村唯音じゃない?」

「え、まじで?無理なんだけど」

「なんでいんの、キモいわ」

唯音
.....。
こんな声を聞かさせれるのは私も中村さんも、ハナからわかってた。

それでもこんなにも必死な中村さんの頑張りを誰かの冷たい言葉を理由に引き止めることはできなかった。

だけど、たった12歳の彼女にそれが耐えられると、私は思えなかった。
マネージャー
中村さん、大丈夫ですか?
唯音
うるさい。
私は本当に役立たずのお荷物だ。

こうして中村さんが傷つく瞬間を側で何度も見てきたにも関わらず、未だ彼女の天邪鬼をスルーすることしかできないのだ。

こんな私にマネージャーを努める資格なんか、あるのだろうか。































マネージャー
じゃあ私、楽屋行かなきゃいけないのでこれで失礼します。
唯音
うん
終演後、私たちは人混みを避けて一足先に会場を出た。

私はなにか、中村さんの努力を報うことはできないだろうかとずっと思っていたことを口に出してみた。
マネージャー
あの!、
マネージャー
もしよろしければ、メンバーの皆さんに会っていかれませんか?
唯音
え......
マネージャー
.............どうですかね.....?
中村さんの眼がほんの一瞬、輝きを帯びた。



.......どうだ?
唯音
.....あぁ、いい。帰る。
マネージャー
あ....そうですか....。
マネージャー
では、お気をつけて。
だめだった。

私は今日も、中村さんに何一つ貢献できなかった。

あの一瞬で何を期待し、何を諦めたのか。

今までもこれからも、私には決して理解できないだろう。

中村さんの中にある膨大な闇に触れただけで、彼女を救うことなんて私にはできないのだから。






























澄田 花
......。
澄田 花 Hana Sumita
2001年10月7日生まれ。
入所当時からの唯音のファン。
唯音の美しさとたゆまぬ努力に心を打たれ、元来SonwManのファンでありながらも唯音を応援する唯一の一般人。
澄田side

唯音ちゃん、やっぱりSnowManになりたいんだね...。


入所したときから正式に加入しての活動が無かったから、とっくにSnowManのことは忘れちゃったのかと思ってた。

なんだか、すこし
澄田 花
うれしい...。
ていうか、こんなに間近で唯音ちゃんを拝めたの初めて!

本当に綺麗だったなぁ。

私がSnowManのメンバーだったら惚れちゃうな。










唯音ちゃんの夢とSnowManの夢、

両方

ぶつかり合ったりせずに

ちゃんと

叶いますように。

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