第105話

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2026/06/12 15:00 更新
夜。

Fukaseは急いでヨルの家へ向かった。

何度電話しても出ない。

メッセージも既読にならない。

「頼むから無事でいてくれ……」

小さく呟く。

到着すると、部屋の明かりはついていた。

インターホンを鳴らす。

反応はない。

もう一度鳴らす。

それでも返事がない。

Fukaseの心臓が嫌な音を立てる。

その時。

ドアの向こうから、かすかに物音がした。

「ヨル!」

声をかける。

しばらくして、ゆっくりと鍵が開いた。

そこにいたヨルは、顔色が悪く、ふらふらしていた。

「……Fukase」

力のない声。

Fukaseはすぐに支える。

「大丈夫か?」

ヨルは小さく首を振る。

「ごめん……」

「うどん作ったんだけど」

「食べられなくて……」

Fukaseは部屋を見回す。

キッチンには片付けられた食器。

作ろうとした形跡だけが残っていた。

「謝るな」

静かに言う。

「まず座ろう」

ソファまで連れていく。

その頃。

電話越しで状況を聞いていたSaoriも安心したように息を吐いた。

「無理しすぎなのよ、あの子」

隣のNakajinも頷く。

「解散準備も引っ越しも重なってるからね」

部屋では。

Fukaseが水を用意する。

「少しずつでいいから飲める?」

ヨルは小さく頷く。

「……うん」

少し飲んでから、目を伏せる。

「やることいっぱいで」

「気づいたら食べられなくなってた」

Fukaseは隣に座る。

「頑張るのはいい」

そして少し困ったように笑う。

「でも倒れるほど頑張るのはだめ」

ヨルは黙る。

図星だった。

「一人で抱え込みすぎ」

Fukaseは続ける。

「解散も、引っ越しも、音楽も」

「全部今日やらなくていいんだよ」

ヨルの目から、ぽろっと涙が落ちる。

悲しい涙じゃない。

張り詰めていたものが緩んだ涙だった。

Fukaseはティッシュを差し出しながら言う。

「今日は休もう」

「続きは明日」

ヨルは小さく頷いた。

その夜だけは、未来の話も計画の話も置いておいて。

ただ静かに休むことになった。

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