結局その夜は眠れなくて、
シュアヒョンのそばにいる事にした。
熱のせいで熱くなった手をギュッと握って、
苦しそうに息をしながら眠るヒョンを見つめる。
こういう時は、
弟だという事に悔しさを感じる。
もし同い年だったら、
もし年上だったら、
シュアヒョンが躊躇いなく頼ってくれたんじゃ無いか。
そう…、思うんだ。
ガチャ
96lineのヒョン達が入って来て、
様子を見に来たようだった。
…いいなぁ、ヒョン達は。
シュアヒョンと歳近いもんね。
頼られるのも、あのヒョン達が先だろうね。
いいなぁ、羨ましい。
………でも、それよりも、
今忘れられないのは、
昨日のヒョンの温もり。
久しぶりに聞いたヒョンの暖かい声。
枯れて震えてても、
それは確かにシュアヒョンの暖かい声だった。
猛烈な頭痛と共に、
体を起き上がらせる。
周りを見渡すと、
床にはスングァニとチャニが寝ていて、
ウォヌがベッドに頭を乗せて眠っていた。
………何事?
ってか、熱出したの見られた…?
また、弱いところ見られちゃった。
ガチャ
そうだね、そうだよね。
みんな知ってるよね、僕が熱出したの。
昨日の記憶が無い。全く無い。
だから余計に不安だ。
何か迷惑な事をしてないか、
隙を見せていないか、
弟達をまた傷付けたんじゃないか、
途端にまた不安になる。
あぁ、嫌だ、来ないで、来ないで、
やだ、ごめん、いやだ、怖い、来るな、触るな、
僕から離れて、来ないでッ______
怖くて、不安で仕方なくて、
耳をギュッと握りつぶして、
もう何もかもが分からなくなった時、
目の前には心配そうな顔をしたクプスがいた。
不安でいっぱいだった心が、
少しずつ減っていって、穴をつくる。
その穴は埋めように無いほど大きくて、
まるで大きな津波のように
何もかも無くなってしまったような、
そんなぽっかりとした寂しい気持ちになる。
でもそれさえも、大丈夫だと言ってくれるように
スンチョリは僕の手を優しく握って
ギュッと抱き締めてくれた。
ドッと力が抜けて、
スンチョリに寄りかかった。
弟達の視線が僕に向いていることは、
敢えて見ぬふりをしながら。
しっかりと僕の事を見つめるスンチョリを、
僕も真似するようにしっかりと見つめた。
でも________
その質問は、
僕の喉を詰まらせるのに、十分だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!