クリスマス。
それは、年に一度のキラキラ輝く夢の夜。
誰だってこの季節はウキウキワクワクしながらアドベントカレンダーをめくったり、
町で一番大きなガチョウを予約したり、
モミの木に飾るオーナメントを用意したり、
大切な人に贈るプレゼント選びで忙しい。
そして、オレはーーーーー。
12月に入ったので、
メチャ美味いシュトーレンを焼いてる最中である。
辺りには焼きたてシュトーレンのいい匂いが漂っている。
オレは包丁でシュトーレンの真ん中を切り、その切り口から一切れスライスして一口。
自画自賛!
すると、シュトーレンの匂いに引かれてか、ゾロゾロとみんなキッチンに集まってきた。
オレは包丁でスライスして皆に差し出す。
オレのシュトーレンは皆に好評だった。
それが嬉しくて、クリスマスまでオレはシュトーレンを作り続けることになった。
キッチンにシュトーレン用のテーブルを用意し、そこにシュトーレンの皿と、スライス用のナイフを置いておく。
誰でも好きな時に一口スライスできるように。
シュトーレンがなくなりそうになったら、新しいシュトーレンを追加する。
新しいシュトーレンを皿に移していると、じっと赤い目がオレを見つめてきた。
す、拗ねたァァァァァ!!!
ラジオデーモンが拗ねやがった!!!
ニコニコとご機嫌になるアラスター。
全く、シュトーレンで拗ねなくても。
………………元々アラスター用に
クリスマスプレゼント用意してあるのに。
おっと、これはクリスマスまでの秘密。
恋人へのサプライズだ。
そのままの流れでクリスマスの雑談となり、オレとアラスターは、ペアのマグカップ(「MY🦌Deer」「LOVE🐺WOLF 」)でコーヒーを飲んだ。
まだ、生前のころは、父さん母さんと一緒にクリスマスを祝ったものだった。
暖かな思い出の中には、いつだって我が家伝統のメチャ美味いシュトーレンがある。
目が据わっている!?
アラスターがそっとオレの肩を抱いた。
(。・_・。)ポッ
そう、最後の幸せなクリスマスの思い出は。
まだ16才のガキのころの………。
あの、壮絶な列車事故の後、
クリスマスに食べるシュトーレンは……
冷たい屍肉の味がした……………。
あれ? 顔に出したつもりは全然なかったんだけどなあ………?
オレの返答を待たず、アラスターはシュトーレンを一切れスライスすると、パクリと大きな口の中に放り込んだ。
そのままモグモグと咀嚼し…………。
そのまま、
ヤドリギもないのに、
アラスターはオレにキスをした。
バターの香りと、ドライフルーツの甘酸っぱさと、洋酒の匂いが深いキスに混ざりあった。
そう言ってアラスターはオレを抱き締めた。
温かい。なんて幸せなクリスマスなんだろう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!