廃神社の前を通りかかると、草むらで何かが動いた
見ると、白い生き物が怪我をしている
「なにこれ?」
「怪我してるっぽいよ?」
「連れて帰る?」
「私はお母さんが許さんわ」
「確かに、おばさん動物苦手だっけ?」
「うん、てか、これ動物か?」
僕が躊躇しながら持ち上げると、大きい餅みたいなのに耳としっぽと翼が生えている
翼は千切れてしまったのか、片方しかない
これでは飛べないだろうな
「こんな動物いたっけ?」
「まだ学校で天国とか地獄の勉強はしてないけど……天界の動物とか?わんちゃんそうなら研究所に運ばれちゃうね」
「えぇ……それは可哀想だなぁ、とりま僕の家に運んで怪我の手当しなきゃ」
何を食べるかは分からないが、家にある物をあげればいいだろうと思いながら、二人で家への帰り道を急ぐ
まだお母さんに説明するのは難しいので、隠しながら家に入る
そこまで大きくないのが不幸中の幸いだろう
「ただいま〜」
「こんばんは〜」
「こんにちはじゃね?」
「確かに笑笑」
二人でバラバラの挨拶をしながらリビングに入る
すると、何故かそこに闇川さんがいた
「あら、2人ともおかえり〜」
「お邪魔してま〜ス」
「え?」
「は??」
話を聞くと、どうやら零の隣のアパートに越して来たらしい
僕の家の隣の隣ってことになる
あまりにも幽玲がお母さんと仲良く話してたので、僕達はとりあえず自分の部屋へ
布団で簡易動物ベッドを作り、謎の生き物を上に載せる
すると、目が開いた
「え、目開いた!」
「そんな赤ちゃんみたいな……え、ほんとだ」
どうやら、等身とか骨格が違うだけで、ちゃんと足も顔もあるらしい
「ねー、零〜名前どうする?」
「えーー?」
「ルミナリアはどうだイ?」
「いいね〜……って」
開けっ放しのドアにもたれ掛かるように、闇川さんがいた
ニコニコとしながら、こちらに近づいてくる
謎の生き物の前を庇うように立つと、闇川さんが少し焦ったように弁明する
「別に、何か危害を加えようとかじゃないヨ〜、面白そうな事してるな〜って思っただけだヨ〜…拾ってきたノ?」
「えぇ、まぁそうだね、怪我してたし……」
「じゃあウチ、何か食べ物持ってこようか?荒川さんのお母さんには、上手く勉強会するとか言っておくヨ〜」
ウインクして、部屋を出ていく
零を見ると謎の生き物…命名ルミナリアを撫でながら、朝の羽をまた真剣に観察している
「……それ面白い?」
「え?あー、面白いよ?」
「闇川さんって不思議な子だよね、音がなかった」
「んね、思った」
とりあえず、お母さんが覗いてきてもいいように、勉強道具を広げておく
僕の国語と社会の教科書はボロボロなのに対して、数学と理科の問題集は新品同様に綺麗
だ
それを見た零が笑い出す
「この極端な差よ笑笑」
「いやぁ、ほんとに理系は無理〜」
「それじゃ、ついでに勉強するかー」
「えーー」
そうしたら、今日の晩御飯であったであろうハンバーグを3人前運びながら闇川さんが帰ってきた
「勉強頑張ってらっしゃい!だってサ〜」
「あはは〜」
「3人前なんてよく運べたね?私絶対無理〜」
「武道とかやってたからネ〜」
「武道?合気道とか空手とか?」
「そういう感じカナ〜」
ハンバーグをルミナリアの前に置いてみる
少し匂いを嗅いだ後、ちまちまと食べ始めた
「食べんの?」
「え?…あぁ、僕はいいかな〜」
「体調崩すぞー?」
「へいへーい」
適当に返しながらルミナリアの方をもう一度見ると、お皿の中身がもう無くなっている
「はっや!?」
「お腹すいとったんやろ、おもろ」
「凄いな〜、レタスとかまで食べとる……」
「凄いネ〜」
その時、家のインターホンがなる
3人で顔を見合せ、こんな時間に誰だ?とか思いながら、そっと耳を澄ましてみる
「あら、アカネちゃん!どうしたの〜?」
「あ、ちょっと律ちゃんに借りてたものを返しに来ただけです!」
「あらあら、是非上がって〜」
あぁ、そういえば本貸してたっけと思いながら、ルミナリアを布団に包ませて、食器を机の上に置く
すると、ドアが開いてアカネが顔を覗かせた
「律ちゃん本返しに来たよ〜って、幽玲さんがなんでここに?」
「あはっ、ウチの家ここの隣の隣なんだよネ〜」
「そうなんだ!じゃあ皆家近いじゃん!いいな〜」
闇川さんの目が一瞬値踏みするように細まったのは気のせいだろうか
そんな考えはあっという間に過ぎ去って、僕の神経の全てはルミナリアに向いている
動物だから、何をしでかすか分からない
ちらっと確認すると、何かモゾモゾと動いている
「あ、もうそろそろ私帰らなきゃ!」
そう言って、アカネが席を立った時、何かがポンっと弾ける音がした
音の主はルミナリア
「え?」
「なになに???」
慌てて布団を剥ぎ取る。
そこには_______
今回はここまで
相変わらず切り方が下手くそですね
それでは、また来週お会いしましょう







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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。