朝練が終わった体育館。
窓の外では蝉の声が響き、コートにはうっすらと汗の香りが残っていた。
あなたはバタバタと動き回っていた。
選手の給水チェック、テーピングの片付け、最後に氷のうの交換。
マネージャーの仕事は山積みで、誰かに頼る前に、自分で全部やりたかった。
冷凍庫から出した大きなバケツには、氷と水がぎっしり。
持ち上げた瞬間、"身体が少しだけ傾いた"
(あ、……やば)
――その時だった。
…危ない
後ろから突然伸びた手が、私の手にかぶさった
振り返ると"小川さん"がいた
首筋の汗がきらきら輝いていて眩しい
息も切らしていない。けれどその瞳は、氷のうではなく、彼女の顔をじっと見つめていた。
あなたは慌てて首を振ったけれど、小川は構わずバケツを軽々と持ち上げ歩き出す。
私はしかなたく後ろに並ぶようにして歩いたけど
さっき指が触れた、だけなのに、それだけなのに、
すると前を歩いていた小川が、ふいに振り返った
と、からかうように、すべて見透かしたように「ふっ」と口角を上げる
この、わかってるくせに……!
私が言葉に詰まっていると、またニヤッと口角を上げて
そう笑ったその横顔に、もう顔から火が出るかと思った。
胸がきゅっと苦しくなる。
……ずるいです、小川さんっ、












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。