7月 サマーカップ
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スケジュール帳に書かれた
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水色の文字
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3年最後のサマーカップ。
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なんだかんだ、3年間片思いしていた。
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スケジュール帳を閉じて
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選手ノートと、雅紀ノートを持つ
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雅紀ノートを渡すと
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何に使うんだろ……
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そう思って見つめてると
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部員を集めて
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ノートを晒すつもり！？
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名前出さなかっただけまだいいか……
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少しドヤ顔で、
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ｸｼｬﾘと笑った。
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その笑顔がどうしようもなく大好きだ。
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頭をポンポンと撫でられる。
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前に誰かに聞いたのを見たことがある
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『雅紀はあなたのことどう思ってるの？』
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という風景。それに雅紀は
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『あいつは友達……では無い。』
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『え！？付き合ってるの？！』
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『いや。俺の事を支えてくれる人……かな？』
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と。
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友達以上ではあるけど、恋人では無い。
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そんな曖昧な境界線。
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咲は、あの事件以来仲良くなった子。
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肩を抱かれた私はフリーズした
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何このかわいい子供は……
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私は思わず目を逸らして
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とつぶやく。
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ずるくないかな……その笑顔といい
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そんな言葉（セリフ）は

と言って
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部室に入っていった
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私もマネージャー室に入る。
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明日の準備が終わってない。
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だから咲を待たせるかもしれない
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と伝えるつもりだったけど……
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雅紀と帰ることになったからその手間も省けた
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今まで、何回かあった。
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一緒に帰ることは
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でも、あんな風に予約みたいなことを
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されるのは初めてだ。
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ｺﾝｺﾝｯ

後輩達はある程度の準備を頼んで
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先に帰ってもらった
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私には私特有の準備がある。
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もちろんそれもノートに書いてある。
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ポケットのスマホを見ると
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19:45
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確か咲が来たのは18:00過ぎ……
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だいぶゆっくりしてしまったらしい。
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大きなバッグにアイシング道具を入れて
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運ぼうとした時
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重くて思わずよろけた
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後輩が入れ忘れた道具まで入れたからかな
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雅紀に運んでもらって
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ふたりで並んで帰る
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サマーカップが終わると
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納涼会と称して合宿がある。
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もちろん練習もするけど
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夜は祭りに行ったり
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花火したりなかなか楽しみな行事。
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去年まではなかったけど今年
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雅紀、そして私の後押しで
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行われることになった
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しばらくバスケの話をして
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他愛もない雑談をしてるこの時が幸せだった。
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小さくつぶやく。
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とピースする
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ｶｼｬｯ
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手に持っていたスマホで写真を撮った
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このやり取りが続けばいいのに……
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噂で聞いた。
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雅紀は、名門の大学に行くこと。
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今年が最後……
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そう言ってくしゃくしゃと頭を撫でられた。
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空には
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星が瞬いていた