校庭に戻ると、ちょうどラストのダンス部の発表が始まっていた。
軽快な音楽と揃ったステップに、自然と人だかりができていて、あなたたちもその輪に混じる。
あなたは思わず目を奪われ、リズムにのって踊るダンス部をじっと見つめた。
後ろから友達が茶化すように笑って声をかけてくる。
その瞬間、頭の上にぽん、と大きな手の感触。
振り返らなくても誰か分かる。
耳元で低く落とされた声に、あなたは一瞬固まる。
ニヤリと笑って、黒尾は振り返ることもなく、人混みの向こうに歩いて行ってしまった。
胸を押さえて、顔が熱くなるのをごまかす。
そんなあなたの様子を見て、友達が「あ、そういえば」と思い出したように口を開いた。
思わず大きな声を出してしまう。
答えながら、あなたは自分の頭に残る温もりを、なんとなく気にしてしまっていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!