誰もが眠りにつく夜中の闘技場。
かつてこの場所で行われた伝説の三大魔法学校対抗試合。
二人の周りには深い闇が広がる。
寮を抜け出してこんなことをしていることがバレでもすれば、どんな事になってしまうだろう。
リスクへの恐ろしさを感じながらも、両親の反応を想像すると、少しの好奇心さえ湧いてくる。
スコーピウスは、アルバスの手元を見つめながら言った。
小さくて、古びた金属の真ん中に回る砂時計がある。
慎重に扱うべきものだと、直感が告げている。
アルバスはそう言って、逆転時計を握った。
その表情は、どこか子どもじみていて、同時に必死だった。
スコーピウスは一瞬、父の顔を思い浮かべる。
自分が折れたことに、少し驚きながらそう言った。
アルバスはにっと笑い、
次の瞬間、世界が裏返った。
耳鳴り
足元が消える感覚、そして__
轟音、歓声、熱気
視界が開けた瞬間、スコーピウスは言葉を失った。
巨大な闘技場。
宙を舞う火花。
観客席を埋め尽くす魔法使いたち。
アルバスが小声で叫ぶ。
会場中に響き渡る声とともに、割れるような大きな声援がそこら中から上がる。
二人はダームストラングのローブを身にまとい、その会場の迫力に圧倒されながら、応援に参加する。
黒と赤のローブに深く被ったフード
スコーピウスは思わず笑ってしまった。
危険なはずなのに、
胸が高鳴る。
闘技場では大きなドラゴンが吠える。
炎が空を裂く。
アルバスが身を乗り出す。
選手が続々と入場し、会場の空気は一層盛り上がる。
*ハーマイオニーとロンの長女。アルバスとスコーピウスと同い年。
ハーマイオニーが二人を怪訝そうに見つめる。
ハーマイオニーがドラゴンの咆哮に気に取られている間に、スコーピウスがアルバスの腕を引っ張り、その場を離れようとした。
人混みをかき分けて走る。
歓声が遠ざかり、視界が揺れる。
その瞬間__逆転時計が、異様な熱を帯びた。
金属が震え、
砂時計が、勝手に回り出す。
次の瞬間、衝撃がはしる。
誰かに、ぶつかった。
スコーピウスはよろけ、
アルバスは前を歩いていたスコーピウスの背中にぶつかる。
手にしていたものが弾かれる感覚。
きらり、と光る。
逆転時計が、空を舞い、人波の向こうへ消えていった。
声を上げるより早く、人混みに飲まれる。
目の前に立っていたのは、同じ年頃の少女だった。
深いブラウンの柔らかい髪。
困ったように揺れる瞳。
その声は、ひどく落ち着いていた。
スコーピウスは反射的に答えた。
アルバスが横で、何か言いかけて、飲み込む。
少女は少し笑った。
スコーピウスはその笑顔に理由もなく、懐かしさを感じた。
それだけ言って、彼女は去っていった。
__スコーピウスはその背中をぼんやりと眺めていた。
アルバスが呟く。
スコーピウスの喉が、ひくりと鳴った。
__未来に戻れないかもしれない
そう理解した瞬間、
指先から体温が奪われていくのを感じた。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!