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私が答えると、騎士さんはにこっと微笑み歩き始めた。
感じのいい人…
そうして、私と騎士さんはしばらく、いや、だいぶ歩いた。
今どこにいるかって、まだ一階の廊下を歩いている。
目の前に大きな階段は見えるが、全く近付くことができない。
騎士さんと話していると、あんなに遠く感じた階段にあっという間に着いた。
騎士さんは部屋まで送り届けてくれた。
別れ際に私は言った。
私は久しぶりに本心から笑った。
騎士さんも笑い返してくれて、私は嬉しくなった。
私はドアを閉めるふりをして、隙間から騎士さんが戻っていくのを見届けた。
聞こえるはずがないとわかっていたが、私はそっとつぶやいた。
今までにないくらい胸がドキドキしている。
…これが、恋の始まりというやつなのだろうか。
恋のはずがない!
…多分!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。