春の匂い って 、
あの場所だと思う 。
神社の裏の 、
草がちょっと伸びすぎた空き地 。
私たちだけの秘密基地 。
リトが木の枝を振り回して叫ぶ 。
城っていっても 、
ただ段ボールを積んだだけ 。
イッテツは家から持ってきた
ノートを広げてる 。
議事録いらないでしょ 。
マナがにやにやしながら私を見る 。
ウェンがクスッと笑う 。
なんで真ん中なんだろ 。
私ただ立ってただけなのに 。
今日は何しようかな 、と
考えた時 、
1つ頭の中に浮かんだ 。
結構いい案だと思ったんだけど 、
みんなが一瞬止まった 。
うるさい 。
ちょうど足元に平たい石が落ちてた 。
5人分の印を書けるくらいの大きさ 。
リトが石を受け取り 、
削り始める 。
自信満々に言ったリトに
冷たく返すマナ 。
イッテツは真剣に刻んでる 。
性格ですぎ 。
ウェンはゆっくり削ってる 。
マナはしばらく考え込んだ後 、
印を付け始めた 。
最後に石が私の前に来た 。
みんなの印 。
バラバラで 、なんか面白い 。
だからその周りを囲うみたいに
線を引いた 。
真ん中に小さな点を1つ 。
なんとなく 書いてみた 。
リトが急に言う 。
みんな好き勝手言ってる 。
私は石を大事に土に埋めながら言った 。
その時は 、本気だった 。
桜が少し散ったこの季節は変わっても続くし 、
5人もこのままだと思ってた 。
夕方の光はやわらかくて 、
風が少し冷たくて 、
でもなぜか暖かく感じて 。
世界はちゃんと動いてて 。
それが当たり前だった 。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!