教室に着くと、一直線に自分の席へ着く
なんだか、彼といるとペースが乱される
あまり一緒にいたくない、なんて
最低なのかもしれない。
けど、バレたら困る
なにがあっても、
例え世界が壊れても
私の笑顔はバレてはいけない。
バレたら、あの子を悲しませるから
もういいや、忘れよう
そんな考えを持って本を開く
あの子が好きだったこの恋物語は
私には少し、甘すぎるみたいだ
甘い甘いチョコレート、
私にはないあの子だけのもの
チョコレートを食べるにはどうしても
私にはない何かが必要なようで。
でも、チョコレートなんていらない
私にはいつものように
コーヒーみたいな苦い何かと
プレーン味の日常があれば
スパイスもなにもいらないのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!