交際 〇
夢主→女優
あなたside
最近はありがたいことに一段と仕事が忙しい
始まったばかりのドラマ撮影、そろそろ終わりの映画撮影
今放送してる主演ドラマの番宣でバラエティに雑誌
空いている時間は睡眠か食事
遅くに帰ってきて、また早くに家を出る。
同じ家で暮らしているはずの彼とはほとんど顔を合わせない
毎日私が一方的に寝顔を見るくらいだ。
言葉なんてもう1週間ほど交わしていない
忙しい毎日にけむを巻かれるように見えなくなっていく
寂しいという気持ち。
私が忙しいから会えない。
私は我慢させている側
それなのに、1日くらいは起きて待っててくれてもいいじゃん、なんて
彼だって忙しいことは重々承知の上で思ってしまう我儘な私
今日は土曜日。彼はラジオでいないから待ってたら会えるかな
なんてワクワクしちゃう単純な私
そんな私は全部きっと、彼に恋しているからこその私。
そんなことを考えながら家に帰ると
脱ぎっぱなしの服
散らかったゲーム
Uberで頼んだであろう昼ごはんのゴミもテーブルに放置
さっきまでの愛らしい気持ちは一瞬にして消え去り
残ったのは怒り
忙しい1日を終えて家に帰ってくる
お風呂入ったりして、ゆっくりくつろいで
気持ちよく就寝する。
一人暮らしだったなら、そーやってできて
家はとても癒しの場所だ
けど、現実はそう甘くなくて
自分じゃない他の人間が脱ぎっぱなしにした服を洗濯機にいれて
自分じゃない他の誰かが使ってそのままにしている、散らかったゲーム機を片付けて
自分じゃない他の誰かさんが食べるだけ食べてそのままのゴミを捨てる
いつもだったらそれで終わり。次会った時に少し注意するだけ
でも、今日はなんだか妙にイラついて
気づいたら彼にLINEを送っていた。
「服脱ぎっぱ」
「ゲーム散らかってる」
「食べたゴミそのまま」
「何このザマ。ふざけてんの?」
最後のは少し言い過ぎかとも思ったが、何回言っても変わらない彼にいい加減にしろという気持ちが溢れ出した
これくらい言わないと気が済まなかった
すると、ラジオがCM中だったのかすぐに返信が来る
『ごめん急いでた』
『帰ってからやる。そのままにしといて』
「もう私がやった」
「疲れて帰ってきて家がこれだったらマジ気分落ちる」
『だから謝ってんじゃん』
『次からはちゃんとやる』
「それもう聞き飽きた。そう言ってちゃんとした事あった?」
『今回はガチ』
「もういいよ。」
『は?なんだよその言い方』
『ちゃんとやるって言ってんじゃん』
「だから分かったよって」
『もうCM終わる。帰ってから話そう』
「それまで起きとけって言うの?」
『嫌ならいいよ寝とけ』
なんて言いながらも彼の帰りを待ってしまう私も相当大概で
こんなに腹が立っていても、やはり会いたいという気持ちが脳内でチラつくのは恋の魔法のせいか。それとも1度殴ってやりたいという怒りのせいか
お風呂に入って、スキンケアをして髪の毛を乾かして
寝る準備をしていたらドアが開く音がした
待っていたと思われるのが嫌で、もう乾いた髪の毛に再びドライヤーの温かい風を当てる
素直におかえり、と言えない。これは、怒りのせい
洗面台に手を洗いに行く彼を横目にチラチラみてしまう。これは、恋のせい。
思ってもいないことが口からたくさんでてくる。これは、怒りのせい。
ほんっとになんなのあいつ
自分の行いの片付けもできなければ、彼女を引き止める事も出来ない
なんで好きになったのあんな奴
1人じゃ大きすぎるベットに寝転がり、静かに目を瞑る
でも寝れるわけもなくて
2時間経っても彼は寝室に来なくて。
ソファで寝てるのかな、なんて
結局彼の心配ばかりな自分に呆れる
水が飲みたくなって、1度リビングに行くことにする
リビングに入ると、彼がテーブルに肘をついて手で顔を抑えて俯いているのが目に入る
寝ているのか、考えているのか…泣いているのか。
まさかとは思ったが、近づいてみるとテーブルの上が濡れていることに気づいた
反応がないので、寝てるのかと思いブランケットをかけてあげると
手を掴まれて引き寄せられる。
なんだ、起きてるじゃん
なんてのんきなことを考えていた私の視界に入りこんだ
目の周りが真っ赤な樹
なんと言ったらいいかも分からず、不器用な言葉をかけてしまう
絶対にミスった。だって喧嘩中だぞ?
やばい、怒っちゃったかな…?
案外普通の言葉が返ってきて、ほっとする
保冷剤を取りに行くのがめんどくさかったから
寒さによってキンキンに冷えた自分の指を当ててあげた
笑ってくれた、なんてさっきまでの怒りは吹っ飛び、素直に嬉しく思った
好きなとこ、嫌なとこ。全部含めて愛してる。
全部愛おしい。これはきっと、
恋のせい。
ISFPさんからのリクエストでした!!
ご期待に添えるようなお話にできていたら嬉しいです!!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。