視界がぼやけて 、
何も見えない 。
私 、 何してたっけ 。
ようやく周りが見えるようになってきて 、
一番最初に見えたのは 、
お義母さんが倒れている姿だった 。
何で倒れているか 、
全く思い出せない 。
けど1つ 、 はっきりと覚えていることがある 。
「 死んじゃえばいいのに 。 」
と私がお義母さんに言ったこと 。
私は 、
忘れていた自分をすべて思い出した 。
殺していた自分を全て思い出した 。
……… 思い出したくなかった 。
言葉の悪魔 、
… 言葉からできる強い因縁が生み出した悪魔 。
沢山の人間が人間に暴言を吐くことが増えてしまい 、
私は生まれた 。
私の能力はまだあった 。
強い思いが込められている言葉が、
現実になるという能力 。
どうして忘れていたんだろう 。
もし覚えていたら 、
こんな事にはならなかった 。
最近 、
自分でも少しずつ気づいていた 。
言葉の悪魔が 、
私の代償を一度も貰わなかったこと 。
寝ている間に血を取っていると思ってたけど 、
言葉の悪魔の姿を見たことがなくて 、
少し怪しんでいた 。
そしてもう1つ 。
知らないのに知っている 。
私の何かがずっと叫んでいる 。
「 デンジはチェンソーマンだ 。 」
と 。
マキマ視点_
言葉の悪魔は 、
人間そっくりそのもの 。
つまり 、 それだけ人間に友好的な悪魔 。
…… もう 、
分かりきったことか 。
デンジ視点_
どーせアキだってマキマさんの所行きてぇくせに 。
カッコつけてんのダセー … 。
… 何だ ?
今何か変な感じが ……… 。
あなたの下の名前視点_
意識が戻ってきて結構経った 。
お義母さんが目の前で死んでいて 、
私は全く別のことを考えていた 。
私は今 、 どんな感情か 。
皆はこんな時 、
どんな感情になるか 。
嬉しい ?
悲しい ?
楽しい ?
苦しい ?
私は笑っていた 。
きっと私は楽しいんだ !
ようやく戻ってきた … 。
私の感情 ……… !!
しんどくなるまで笑い続けた 。
苦しくなるまで 、
胸が痛くなるまで 、
涙があふれてくるまで 、
ひたすら笑った 。
もう 、
誰かに操られるような私じゃない 。
私はもう自由なの !
殺していた私も 、
殺していた感情も 、
全部全部 、 思い出せた …… !
これが私の 、
「 本物の感情 」
だ 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。