「ひっ……!? 誰かと思えばオンボロ寮の監督生氏……。な、何用ですか? 陰キャの僕に用事とか、リア充の嫌がらせか何かな訳?」
自室のドアを数センチだけ開け、
髪の青い炎をパチパチと縮こまらせながら
イデアが早口でまくしたてる。
どうやら頼まれていた精密機器の
返却に来ただけなのだが、
完全に警戒されている。
「兄さん、監督生さんはただ機材を返しに来てくれただけだよ! さあ、中に入ってもらおう?」
「ちょ、オルト!? 勝手に自動ドア開けるなアアア! 部屋の空気が陽キャ成分で汚染されるううう!」
オルトが明るくシステムを操作し、
強制的に部屋の扉が開け放たれる。
部屋の中は無数のモニターが光り、
まるで近未来の秘密基地のようだ。
「監督生さん、これ僕たちが新しく作ったゲームなんだ。兄さんと一緒に3人で対戦しようよ!」
「えっ、拙者、リアル人間とマルチプレイとか聞いてない……。あ、でも監督生氏のキャラの動かし方、なかなかに分かってるじゃん……。よし、そこまで言うならボコボコにしてやんよ(ボソッ)」
ゲームの話になると、
急に生き生きとコントローラーを握りしめるイデア。
テクノロジーの冷たさとは裏腹に、
この部屋には彼らだけの、
居心地の良い温かさが満ちていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。