昨日の夜からなかなか下がらない熱のせいで私は通信教育から卒業出来ず今日は家に引きこもりになる｡そして彼も学校を休んでまで私の面倒を見てくれるらしい｡

彼がここにいてくれるだけで心の支えになったのかさっきまでしていた吐き気はスッと治まった｡

それからして彼は下に行って何かを持ってきてくれた｡袋を持っている｡なんだろ｡

彼は私のおでこの上に袋を乗せてくれた｡
ビニール袋の中には氷水が入っていた｡
あぁ､気持ちいいけど熱下げるシートではないのね.....(笑)

私がか細い声でお礼をすると彼は手を突き出してSTOPの合図をした｡

彼に小さいと言われても説得力の欠片もない｡
でも小さな背中がこんな私を支えてくれるなんて と思った｡

唐突にそんなこと言われても。
それにさっきから挙動不審だ｡目をキョロキョロ泳がせている｡2人きりが苦手なのかも｡

私はこの呼び方で良いのか問い気味に呼んでみた｡彼はううんと首を振った｡それじゃなんだろ｡佐藤くん？それとも....

彼は私の呼び捨てに過敏に反応した｡
でもすぐ うん と頷いてくれた｡

私は無理と思った｡こんな大きな領地の持ち主を呼び捨てなんて畏れ多すぎる.....!

彼の大きな二つの目がこっちを見つめる｡
なんか切なくなったからううんと勢いで首を振ってしまった｡

彼 __ 勝利が歯を見せてﾆｺｯと笑った｡
その笑顔で私の心はまた軽くなった｡

そうそう｡実は私ハーフなんだ｡お父さんがイタリア人でお母さんが日本人｡お父さんもイタリア系日本人だから英語ペラペラって訳でもなかった｡私も生まれ育ち日本だからもちろんイタリアなんか行ったことないし｡
でも目の色はお父さん譲りのブルーだ｡

私はそう言って目をつぶった｡
睡魔が襲ってきた｡勝利もそれを察してそれ以上話そうとしなかった｡

そう言って勝利は私の頭を撫でてくれた｡