第127話

#126
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2026/09/17 01:00 更新
ミナSide

少しずつ。

季節が動いていく。

私とももりんは相変わらずで。

仕事が終われば、

モモ「今日どっち?」

ミナ「ももりんとこ」

そんな会話をするのが、いつの間にか普通になっていた。

そして。

さーたんも。

相変わらずだった。

あのInstagramを。

たまに、見ている。

*

ある日。

仕事の合間。

チェヨン「サナオンニ、これ見て」

サナ「何?」

チェヨンがスマホを差し出す。

二人で何かを見ながら。

話してる。

私は少し離れたところで、ももりんとお菓子を食べていた。

モモ「みーたん、これ食べる?」

ミナ「何味?」

モモ「知らん」

ミナ「知らんのに食べてんの?」

モモ「美味しいで」

ミナ「じゃあ食べる」

一つ取って。

口に入れる。

ミナ「……何味?」

モモ「やろ?」

ミナ「分からん」

モモ「でも美味しいやろ?」

ミナ「うん」

そんな話をしている向こうで。

サナ「え、ここ?」

チェヨン「うん」

サナ「ほんまに?」

チェヨン「ほんま」

いつもより少し大きな声。

何となく。

そっちを見る。

ミナ「何?」

サナ「……長野」

ミナ「長野?」

チェヨン「今度、行くやん」

「ああ」

仕事の予定。

その話らしい。

でも。

さーたんの顔が。

何となく。

いつもと違った。

ミナ「長野がどうしたん?」

サナ「いや……」

チェヨンを見る。

チェヨンも。

さーたんを見る。

サナ「……何でもない」

ミナ「何それ」

サナ「ほんまに何でもないって」

そう言いながら。

さーたんが、もう一度スマホを見る。

「…………」

モモ「みーたん」

小さな声。

ミナ「ん?」

モモ「見るなって」

ミナ「見てへん」

モモ「めっちゃ見てる」

ミナ「気になるやん」

モモ「言わんって決めたやろ」

ミナ「言わへんよ」

モモ「顔」

ミナ「普通やし」

モモ「普通ちゃう」

「…………」

ちょっと。

笑いそうになる。

私。

昔のさーたんみたいや。

*

長野での仕事の日。

朝から。

みんなそれぞれの準備で忙しかった。

撮影。

収録。

移動。

また撮影。

気づけば。

一日があっという間に過ぎていく。

その途中。

さーたんが。

何度か。

周りを見ていた。

誰かを探してるような。

でも。

本人は。

何も言わない。

「…………」

だから。

私も。

何も聞かなかった。

*

仕事が一段落して。

移動の準備をしていたとき。

チェヨン「……サナオンニ」

サナ「ん?」

チェヨン「もう行ったって」

「…………」

さーたんの手が。

止まった。

サナ「……そっか」

それだけ。

チェヨン「うん」

サナ「しゃーないな」

笑ってる。

いつもの。

さーたん。

でも。

その笑顔が。

ほんの少しだけ。

残念そうに見えた。

「…………」

私は。

ももりんを見る。

ももりんも。

私を見る。

何も言わない。

ただ。

目だけで。

同じことを考えてるのが分かった。

*

帰りの車。

サナ「惜しかったなー」

チェヨン「ほんとにね」

サナ「タイミング悪すぎやろ」

チェヨン「またいつか会えるよ」

サナ「まあな」

「…………」

ミナ「誰に?」

聞いてから。

ももりんが。

私の腕をつねった。

ミナ「痛っ」

モモ「何でもない」

サナ「何してんの二人🤣」

ミナ「ももりんがつねった」

モモ「みーたんが余計なこと聞くから」

サナ「……あ」

さーたんが。

こっちを見る。

サナ「そういうこと?」

ミナ「何が?」

サナ「最近二人して、うちのこと変な目で見てたん」

モモ「見てへん」

サナ「見てた!」

ミナ「ももりんは見てへん」

モモ「みーたんは見てた」

ミナ「裏切った」

モモ「ごめん🤣」

サナ「ほら!」

笑い声が。

車の中に広がる。

少しして。

さーたんが窓の外を見る。

サナ「……会ってみたかっただけ」

「…………」

誰も。

すぐには返さなかった。

サナ「何、その間!」

チェヨン「いや、別に」

サナ「絶対何か思ったやろ!」

ミナ「何も」

サナ「みーたんが一番怪しい」

ミナ「ほんまに何も思ってへんよ」

サナ「嘘や」

ミナ「ただ」

少し迷って。

やめた。

ミナ「……また会えるんちゃう?」

「…………」

さーたんが。

私を見る。

サナ「……そうかな」

ミナ「うん」

チェヨン「私もそう思う」

サナ「何その二人」

チェヨン「何が?」

サナ「知らんけど」

少し笑って。

また。

窓の外を見る。

*

その日の夜。

ホテル。

ももりんの部屋。

ベッドに並んで寝転がりながら。

今日のことを話していた。

モモ「危なかったな」

ミナ「何が?」

モモ「みーたん、絶対言いそうやった」

ミナ「何を?」

モモ「“その人ってInstagramの人?”って」

「…………」

ミナ「ちょっと思った」

モモ「やっぱり」

ミナ「でも言わんかったやん」

モモ「えらい」

ミナ「子どもちゃうねん」

ももりんが笑う。

「…………」

しばらくして。

モモ「でも」

ミナ「ん?」

モモ「ほんまに昔の私らみたいやな」

「…………」

今度は。

私が笑った。

ミナ「やろ?」

モモ「うん」

ミナ「さーたん、全然分かってへんけど」

モモ「私らも分かってへんかったやん」

ミナ「ももりんは特に」

モモ「みーたんもやろ」

ミナ「私は途中から分かってた」

モモ「私も途中から分かってた」

ミナ「逃げたけど」

モモ「それ言う?」

ミナ「事実やん」

モモ「……もう逃げへんもん」

声が。

少しだけ変わった。

私は。

ももりんを見る。

目が合う。

ミナ「知ってる」

「…………」

ももりんの手が。

私の手を探す。

指が。

絡む。

モモ「みーたんがおるから」

ミナ「うん」

少しだけ。

近づく。

それだけで。

十分だった。

*

翌朝。

廊下で。

さーたんと会った。

サナ「おはよ」

ミナ「おはよ」

サナ「ももりんは?」

ミナ「まだ準備してる」

サナ「遅っ」

ミナ「さーたんが早いねん」

サナ「みーたんもやろ」

並んで。

エレベーターを待つ。

「…………」

さーたんが。

スマホを見る。

一瞬。

見えた。

あのInstagram。

「…………」

やっぱり。

そうなんや。

でも。

言わない。

エレベーターが来る。

扉が開く。

サナ「みーたん」

ミナ「ん?」

サナ「昨日さ」

少しだけ。

間。

サナ「ほんまに、また会えると思う?」

「…………」

ミナ「うん」

サナ「何で?」

ミナ「分からん」

サナ「何それ🤣」

ミナ「でも」

エレベーターに乗る。

扉が閉まり始める。

私は。

さーたんを見る。

ミナ「会いたいって思ってるなら、いつか会えるんちゃう?」

「…………」

さーたんは。

少しだけ。

笑った。

サナ「……そっか」

ミナ「うん」

まだ。

恋じゃないのかもしれない。

ただ。

写真が好きで。

気になって。

一度。

会ってみたいだけ。

それでも。

昨日。

すれ違って。

会えなかったことを。

少しだけ残念そうにしていた。

「…………」

その気持ちに。

今はまだ。

名前なんて。

なくていい。

だって。

私たちだって。

そうだったから。

気づけば。

いつも隣にいて。

その意味を知ったのは。

ずっと。

あとのことだった。

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