そう言ってキミは突然現れた
真っ直ぐな眼差しで私の親友を見ている
あれ、この子4月に校内で迷子になってたような
それはそうと親友とその親友の彼氏(仮)と1年生は別のところへ移動しようと話になっている
※(仮)の理由は前作の『君が近くて遠い。』を読んでね
何か面白そう〜
私もついていくことにした
予想は的中してやっぱり告白だった
滝瀬彰都くんって言ったっけ
ハキハキしていて面白そうな子
少しからかってあげると親友から黙ってと言われた
凛佳ちゃんひどいな〜
三角関係何て私の経験上面白い事になるの100%何だけど
親友ははっきりと断った
それもそうだろう
仮にも今は付き合ってる人がいるんだから
やばい、この3人お笑いコンビか
会話のテンポが面白すぎる
ポッケからイチゴ味の棒飴を取り出して口に入れた
やっぱり甘いものは最高だな〜
それからお昼ご飯も彰都くん加えて4人で食べようってことになり今私の隣には彰都くんが座って菓子パンを食べている
おぉ、サッカー部なら脚とか強そう
体力もありそうだし外見通りの子って感じ
え、菓子パンもう食べ終わって次惣菜パン食べてる、食べるの早いな〜
…口に早速ソースついてるし
親友がティッシュで拭いてあげると
と元気に言った
礼儀とか常識はちゃんとあるんだ
そして親友の彼氏(仮)のそれ頂戴から目の前でいちゃこらしだした
ある意味本当に付き合いだしたらバカップルになるかもしれない
話が進んで今日は彰都くん含めて4人で帰る事になった
放課後の掃除時間私は先生に見つからないように掃除をサボって屋上に繋がる階段に座っていた
すると下から階段を登る上履きの音が聴こえて来て段々とそれは近付いてくる
3年の男の先輩だった
3年の中で1番カッコよくて人気の朔先輩
中2からの付き合いでお互い都合のいい時だけ呼んだりする
私の隣に座った朔先輩
いつもあの幼なじみくんみたいに周りに女の子がいるのに今日は誰1人いない
ポケットから今度は棒なしの丸い飴を取り出して袋を破ると隣から飴を奪われた
私の飴を食べた先輩
口の中で飴を砕いた音が聞こえた
最後まで言葉を言わせないで私の唇と朔先輩のが重なった
口を開けると私の欲しかった欠片が口の中に入ってきた
甘いイチゴ味が広がる
飴を貰ってもそれは離れずに私の上顎や歯列をなぞっていくように舌を這わせる
自分のを引っ込めると相手が追いかけるように私の口内に侵入してくる
お返しに今度は私から絡めると一瞬重なっていたものは離れて私の上唇を強弱をつけて甘噛みをしてきた
私も朔先輩のを甘噛みする
朔先輩の右手は私の顎を少し上に向けさせる
離れては重ねるの繰り返し
かと思えば激しく濃厚に絡めてくる
朔先輩のキスは来てほしい時に来るから好き
この雰囲気になると私の名前を呼び捨てになるのも好き
だけどそれはこれだけ、恋愛感情なんて無い
お互いそれをわかっている、都合のいい時にだけ呼び出す仲
夢中になっていると掃除時間が終わるチャイムが鳴り響いた
離れると私と先輩が重ね合っていた証拠として透明の糸状が出来た
りょーかい。と返事をすると最後に チュ__ と可愛らしいキスをして階段を降りていった
凛佳たちと帰る約束してるから私もそろそろ戻ろう
階段を下りていって右に曲がろうとすると誰かにぶつかった
彰都くんがさり気なく私が後ろに倒れないように腕を掴んでくれていた
こんな所でなにしてるんだろうと思ったけど空いた手にゴミ袋を持っていたからゴミ捨てとすぐにわかった
彰都くんでさえちゃんと掃除をしているのに私はさっきまで朔先輩とあんな事をしていた
彰都くんは偉いな〜
純粋そうだもんね
何だろう彰都くんと話すと何かを消化されたような…
癒やしだ
これが年下パワーなのかな
屋上に繋がる階段から下りてきたら誰だって気になるだろう
彰都くんが聞いてる事は別に可笑しくない
冗談で言ったつもりが本気で受け取ったのか「いいっすよ!」と言った
いいんだ……
何か予想外な言葉が返ってきてホントに興味深くなる
手を振られて私も振り返した
スカートのポケットからヴーヴーと機械の揺れた音
携帯を取り出してホームボタンを押すと通知が来ていた
『今日会いたい』
違う男性からだった
未読無視をして携帯をポケットにしまった
人は外見じゃわからない
私みたいに癒やし系、可愛い系と言われるけど本性は色んな人と出来る最低な奴
私という人間はこういう奴だ
数ヶ月後私が変わる事何て思いもしなかった___ 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!