それから寒い寒い冬に負けず、私たちは受験生らしい毎日を過ごした。日に日に受験のプレッシャーが大きくなり、授業中もピリピリした空気が流れた。
そんな中でもリア充というのはリア充で、ふうちゃんたちは毎日一緒に帰るようになり、ユリたちも休みの日はいつも一緒にいるらしい。本人達は、勉強していると言うが、そんなわけが無い。
そんな中、私は一足先に落ち着いていた。実は、推薦受験で、内定をもらっていたのだ。
同じクラスにも、私立専願で合格している子や、同じように推薦で内定をもらっている子がいて、表情を見れば大体わかる。
目の下にくまができていて、死にそうな子は一般受験の子。朝から放課後までずっと幸せそうなのは、私立専願の子か、推薦で内定をもらっている子。私もここに含まれる。
ちなみに、一般受験なのに幸せそうなのは、受験生のクセにリア充を満喫している奴らだ。例の奴らもここに含まれる。
「ちょいちょーい?聞いてますかー?」
目の前のリア充に声をかけられて我に返った。
「あなたは内定もらったんですよね?」
「ああ、一応ね」
「だから、もう余裕でしょ?勉強教えてくださいよ」
昼休みはいつもなら教室か中庭でゆっくり過ごしているんだけど、受験生は休み時間までもが勉強時間である。
「いいけど……」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!