第73話

61度
41
2024/05/21 04:45
ぼたん
すごい熱だわ…‪………
これじゃ応援になんてとても行けないさね
桜をホテルのベッドで寝かせた後、冷やしタオルを持ってきたぼたんがそう言った。
冬瓜
桜…どうしたんだろ、すごく辛そう…‪………
冬瓜
こんな桜初めて見た…‪………
室内には僅かに暗い雰囲気が漂っていた。
雪菜
…私、心配なので桜さんと一緒にいます。
声を上げたのは、雪菜だった。
雪菜はベッドの近くに腰掛け、桜の手を握る。
静流
いいのかい?雪菜ちゃん。
雪菜
はい…
雪菜
なぜだか、前に桜さんに同じことをしてもらった気がするんです…
雪菜が思い返しているのは、垂金邸での出来事だった。
目の前で幽助と桑原が戸愚呂によって傷を負わされ、何も出来ないでただ見つめていた、とても苦しかった。
けれどそんな時、あの人魂が私のそばにいてくれた。
それだけで、心がほんの少し安らいだ気がするのだ。
雪菜
(…変よね、あの人魂と桜さんは別人なのに。)
静流
…そうかい、けど、
雪菜ちゃんは応援に行ってやってくれよ。
静流
あのバカ、雪菜ちゃんに良いとこ見せるんだって張り切ってたからさ。
そう言うと静流は、半ば強引に雪菜の背中を押す。
雪菜
え、で、でも…‪………
静流
桜のことは任せな。
雪菜ちゃんは和のこと応援してやって
静流の優しさに満ちた微笑みを見て、雪菜達はホテルを後にした。
静流
…‪…………しっかりしなさいよ。
あんた、男だろ?

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