あぁ、やっちゃった。
涙が溢れて止まらなかった。
色々なことが頭の中を駆け巡り、ぐちゃぐちゃだった。
ふと気づくと、自分がどこにいるのかさえ分からなくなっていた。
とにかく先生に会いたくて、スマホを取り出す。
でも、画面を見て、苦笑した。
少し、期待してた。
お母さんとお父さんから、着信が来てないかなって。
でも、スマホの画面はいつも通り。
先生に電話をかけ、数コールで出てくれた。
先生の声で、一気に安心した。
私の声で、なにがあったのか気づいてくれた。
私は、すぐに今いる場所を送った。
その後、少しして、また先生から電話がかかってきた。
そう言い、二人とも黙り込んでしまった。
今あったことを言いたいけど、できたら直接聞いて欲しい。
お母さんたち、心配してるかな?
そんなことを考えながら、邪魔にならないように待っていた。
私は、あたりを見回す。
あ、いた。
先生の姿はすぐに見つけられる。
そう言った瞬間、先生がこちらを向いた。
そして、目が合う。
私たちは、電話をしながら近づいていく。
足が痛いな。
流石に走りすぎた。
でも、もう車だし!
私はそう思い、先生に駆け寄って抱きついた。
あぁ、好きだ。
そう思った瞬間、いろんな感情が混ざって、一気に涙が溢れる。
先生は何も言わずに抱きしめていてくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!