体育館の入り口で侑目当てに群がるギャラリーを見ながら、釘を刺すぐらいの気持ちでつぶやいた。
シューズの紐をぎゅっと結んで立ち上がった彼が私の頭にそこそこ痛い手刀を落とした。
ギャラリーに向ける零度の視線とは全く違う柔らかい笑みが、特別感を醸しておかげで頬が熱くなる。
侑先輩は、モテる。
それはもうモテる。
どれくらいモテるかというと、ファンクラブがあって特製うちわできゃーきゃー応援されるくらい。
もし彼がそれに鼻の下を伸ばすタイプだったら、きっと胸の痛みも尋常じゃなかったんだろう。
練習後、ヤンキー漫画のごとく呼び出された体育館裏にそろそろ近付くと、一足先に待っていた先輩がいた。
にこっ、読みづらい笑顔で先輩が笑う。
気恥ずかしくて顔を両腕で覆うと、抱き寄せられて頭をくしゃくしゃ撫でられた。
はぁーっ?って思いっきり眉間に皺を寄せる先輩。
少しムキになるところも、見れるのは彼女特権だ。
自分には繕わずに見せてくれる子供っぽいところも大好きで、彼の時間を独り占めしていることが嬉しくて笑った。
先輩がもう一度、私の髪を乱すように撫でてくれた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!