第5話

稲荷崎高校の彼氏 *宮侑
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2024/06/07 11:30 更新
あなた
浮気ってどこからでしょうねー
体育館の入り口で侑目当てに群がるギャラリーを見ながら、釘を刺すぐらいの気持ちでつぶやいた。
はぁ?なにフザケたこと言うてんねん
全部や全部
あなた
全部?
口聞いたら浮気や!
シューズの紐をぎゅっと結んで立ち上がった彼が私の頭にそこそこ痛い手刀を落とした。
あなた
それわりと詰みませんか
口聞いたら惚れるんやからしゃーないやろ
お前が惚れるかどうかは関係ないねん
惚れさせるんはもう浮気や
あなた
それ自己紹介ですか?
あなた
口を聞いたら惚れられるのは侑先輩の方じゃ?
なんや妬いとるん?
可愛ええわ俺のカノジョ
ギャラリーに向ける零度の視線とは全く違う柔らかい笑みが、特別感を醸しておかげで頬が熱くなる。



侑先輩は、モテる。


それはもうモテる。


どれくらいモテるかというと、ファンクラブがあって特製うちわできゃーきゃー応援されるくらい。




もし彼がそれに鼻の下を伸ばすタイプだったら、きっと胸の痛みも尋常じゃなかったんだろう。
とにかくあかん
男と目ぇ合わすんも納得してへんわ
あなた
図体大きいくせに器ちっせぇ…
言うたな!?
ほんまアカンわ。分からせたなるわ
後で体育館裏きぃや
あなた
え゛っ










練習後、ヤンキー漫画のごとく呼び出された体育館裏にそろそろ近付くと、一足先に待っていた先輩がいた。
おっそい
あなた
ごめんなさい、
ちょっと治先輩に用事頼まれて
はぁ〜〜??サムのことなんか無視しぃや
あなた
できないよ…
俺の呼び出しとサムの用事どっちが大事やねん
まぁええわ
復唱しぃ
あなたはかわいい
あなた
あなたはかわ……ん??
出来てへん!もーいっかい
あなたはかわいい、はい
あなた
あ、ぅえ、えぇ、むり、無理ですっ
お前の自覚が足らんせいやで?あっちこっちから狙われとるんもほんま腹立つわ
烏野のやつらと連絡取り合うとるんもむかつく
ちゃんと言わな終わらんで?ほら、言うてみ
あなた
う…うぅ…っ
あなた
あなた、は、かわ…かわいい…
ようできました
お利口さんやね
にこっ、読みづらい笑顔で先輩が笑う。

気恥ずかしくて顔を両腕で覆うと、抱き寄せられて頭をくしゃくしゃ撫でられた。
自覚できた?
ならもう分かるやろ?
あなたは他の男と口きいたらあかん
な?
ええ子やから言うこと聞けるな?
あなた
いや、それはちょっとさすがに
なんでやねん!!この時間なんやったん!
はぁーっ?って思いっきり眉間に皺を寄せる先輩。



少しムキになるところも、見れるのは彼女特権だ。

自分には繕わずに見せてくれる子供っぽいところも大好きで、彼の時間を独り占めしていることが嬉しくて笑った。
あー、もう…
そんな笑顔見たら何も言えんわ
あなた
侑先輩のそういうところ好きです
…はぁ、ずるいわ

先輩がもう一度、私の髪を乱すように撫でてくれた。












けど次サムの用事優先したらあいつの目の前でキスするから覚えとき
あなた
私マネージャーなんですけどっ!?

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